東海道は海のみち

仕事で千葉にいました。

千葉県は旧国名で言いますと「上総(かずさ)」と「下総」(しもうさ)。のちに上総の南部が分離して安房(あわ)となり、三つの国になりました。

上と下に分かれる前は「総」の国だったんでしょうが、この上と下はどう決まるか

答えは都(奈良、京都)に近い方が「上」で遠い方が「下」。毛野国が二つに分かれた「上野」(こうづけ=群馬県)と「下野」(しもつけ=栃木県)の位置からも明快です

同様に「前」、「中」、「後」も都に近い順になりますね。吉備の国が分かれた「備前」(岡山市など)、「備中」(倉敷市など)、「備後」(福山市など)。また越の国は「越前」(福井県)、「越中」(富山県)、「越後」(新潟県)といった具合。

遠近もあります。都に近い湖(琵琶湖)があるのが「近江」(おうみ=滋賀県)、遠い方の湖(浜名湖)があるのが「遠江」(とおとうみ=静岡県西部)。

さて、千葉県に話を戻します。

周知の通り、東京に接する地域は「下総」で房総半島サイドが「上総」です。

「都に近いのが『上』になるんですよね。逆ではないのですか?」と疑問を呈したのは、同道したH氏。H氏は平城京の大和の出身。

それに対して、地元の銀行の支店長さんから、「昔は海がルート。だから房総半島の方が都に近いのですよ。」

なるほど

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コメント

  1. あをによし より:

    同道させて頂きました“H氏”です。

    いや~、支店長さんのご説明、ここ最近で最も目からウロコが落ちたお話でした!

    単純に測量上の距離ではなく、海路を利用するからという、あくまでも人々の実慣習に軸を置いた命名、ヒューマニストとして非常に好感を抱きます。昔の人って乙ですね。

  2. 芸のない旅芸人 より:

    H氏、あおによしさん

    ダシに使ってゴメン。面白い話でしたね。

    同じく話題に出た、地域文化をどう育てていくかという点に関しても考えていかねばならないと思いました。

    とくに旧来からの地元の人と千葉都民、彼らは転居する可能性が高いわけですが、とがいる複合地域をどうまとめていくは難問ですね。

  3. ARCadia より:

    ホント、なーるほど、だぁ。

    フサの国に行くのに、今ほど陸化していなかった湿地帯を行くより海路を利用した、ようなことがwikiにも書いてありました。

    昔、旅芸人氏のご案内で箱根の古道(ホンの一部ですが)を歩いたのを突然思い出しましたよ。

  4. 芸のない旅芸人 より:

    ARCadiaさん

    一昨年末の巡検は千葉県銚子でした。調子っぱずれの犬吠埼へ行きましたが、また魚を食いに行きましょうや。

    銚子は下総ですよ。

    蛇足ながら茨城県の古河も下総です。武蔵でも常陸でもありません。