新潟県の2つの地方銀行、第四銀行と北越銀行の統合が承認されました。
公正取引委員会によれば、
・新潟県内の企業向け融資を「大・中堅企業向け」と「中小企業向け」に分類した上で、
・6900社にアンケート(→「統合後に金利が上がったら別の金融機関から借りられるか」)を取り、
・大・中堅向け (Aゾーン) は新潟県全体で競争環境を分析、
・中小向け (Bゾーン) は新潟県を10の経済圏に分けて競争環境を分析、
したとのことです。
Aゾーンの企業の多くは、第四北越が統合しようがしまいが、地元他金融機関や県外の金融機関から借りることができるのです。「他行からも営業を受けていて借り換え可能」との回答が多かったようです。かつてメガバンクが「とき作戦」と称し、上越新幹線で東京から新潟県の優良企業に対し、低金利の長期融資で一本釣り営業をしていたという話を思い出します。
Bゾーンでは、10の経済圏のうち、新潟圏、長岡圏、佐渡圏の3つでは統合後のシェアが55~60%になるものの、信用金庫や信用組合などの借り換え可能先があるとのことだったそうです。
ということで統合承認に至りました。
翻って、この分析を長崎の事例にあてはめてみますと、Aゾーンは新潟と同じですが、Bゾーンはまったく異なります。
長崎のBゾーンの問題、それはシェアだけではありません。
「統合後に金利が上がったら別の金融機関から借りられるか」という質問には、統合後にも統合銀行からの借り入れが (条件は悪くなっても) 維持されるという含みを感じます。
統合銀行が地元資本の銀行だからです。
ところが長崎の場合には、新潟と異なり、統合後の銀行が県外資本 (FFG) となるので、Bゾーンでは”金融排除の可能性”も考えねばなりません。
外国人株主比率が3割とも言われるFFGがBゾーンに対し、選別的になるのは、ある意味当然のことと推察されるからです。
「統合で借りられなくなるかもしれない。その場合、他の金融機関から借りることができるか。」
というところがポイントですね。
県外資本を前提とする長崎の場合には金融排除の懸念大、「統合で借り入れ条件が悪くなる」どころの話ではないのです。
公取委がいつまで経っても首を縦に振らない理由がわかるような気がします。