楽しみにしていた会合

「マイナス金利だ、人口減少だ」を理由に、ズルズルと崩れ落ちている多くのライバルを横目に、着実に実績をあげ、地域における存在感を高めている協同組織金融機関のトップの方々と、この週末に一堂に会し、久しぶりにお話しする機会を得ました。

いずれもマスコミ等で昨今取り上げられている金融機関ですので、それぞれのビジネスモデルについて書くつもりはないのですが、ワタシなりにざっくりと共通点を挙げてみようと思います。

まず、経営理念に忠実であること。ほとんどの地域金融機関が「顧客のため、地域のため、従業員のため」という信条から逸脱し、自己中心の経営に邁進する中、いまや貴重な存在です。

お客様とのコミュニケーションが質の面でも量の面でも、競合金融機関の追従を許さないことも、共通点です。

そして奇をてらった業務や身の丈に合わない業務はやりません。基本に忠実ですが、その中での経営判断は素早く、実に的確です。「お客さまのために」という言葉の底流に口先ではない本気度があるからで、それがお客さまに通じ、しっかりとした信頼関係が構築されています。

各金融機関ともメディアが取り上げるせいか、視察 (物見遊山的なものも含め) のたぐいも多いのではと思うのですが、基本に忠実でシンプルだからこそ、視察をしてもコピーできるようなものではないと考えます。

「地域それぞれでやり方が違うのは当然。でも原理原則は同じ。」

お目にかかった経営者同士の会話を傍聴する中で、このようにキーワードをあぶり出しました。

地域金融機関の経営におけるプリンシプル (原理原則) は不変であり、それぞれの地域顧客・地域経済の特性に合致するよう、スピード感を持って業務運営するところがポイントだと改めて痛感したのです。

「好事例 丸呑み病の患者」や「ルールベース症候群」には、地域金融機関の経営はできません。

追伸:

そういえば新卒採用で苦労しているという話は、一切出ませんでしたね。


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コメント

  1. 橋本卓典 より:

    まさに多胡さんがスピーチされた「化学反応」が起きた会合でした。

    そして、ご指摘の共通点、まったく同感です。地域も歴史も違うのは当たり前ですが、お客様を見て、お客様の価値を考えての思考と行動の繰り返しが、それぞれのリレバンという結晶になったのでしょう。まだまだ、彼らは未完成だと磨き続けていますが。。。

    金融庁幹部が話していましたが、「過去、金融機関の破綻はすべて、トランズアクションから生じている。リレバンから破綻した事例はない」とのこと。深い意味があるように思われます。

  2. 寺岡雅顕 より:

     SNS等により、当該金融機関の「職場としての魅力、働きやすさ」が情報発信され、共有されているということでしょうね。

     どこの金融機関とは言いませんが、昨日全く逆の話を聞きました。

     最近までは、6千人を超える応募者があったものが、昨年は千人を切り、虎の子で採用した新入職員ながら、「4月末で早速退職者が出た」ということです。これまで採用実績のない地元の大学まで広げて応募を求めるのに、この始末、、、と言って嘆いていらっしゃいました。

     地域金融を目指す若者は多少なり思いを持って就職してきます。しかし、多くの金融機関では、希望が失望に変わり、情熱がしらけに変質し、顔が上に向いた(銀行都合で考える)職員に作り変えられてしまいます。

     これまでは、それでも退職する者はわずかで、イエスマンの拡大再生産につながっていました。これでも成り立ったのが地域金融機関でした。しかし、いまの若い方は、やはりSNS等の情報共有のおかげで、魅力的で働き甲斐のある職場が世の中に沢山有ることを知っています。また、金融機関からの転職組は、一般に優秀との評価があることもよく知っています。

     今彼らは、「違う」と思った瞬間、誰に相談するともなく転職を選ぶ世代だ・・・・ということを強く意識する必要があります。

    、転換する取り組みを真剣に考えないと、多くの地域金融機関で人材面から崩壊を引き起こす危険を感じています。

     レイジーな状況は脱し、混迷もしくは迷走している状態だというご意見(全体を眺めると、確かに前に進みだした金融機関もあります)もありますが、より一層厚塗りされた仮面をかぶりなおした金融機関が多いように感じています。

  3. 寺岡雅顕 より:

    一部欠落してしまいました。

     「失望を希望に しらけを情熱に、再び転換させる取組み」