自己都合プロダクトアウト銀行のトップに物申す

某地域銀行のトップが次期中期経営計画を語っているインタビュー記事を見ました。

「顧客の販路拡大などのソリューション」、「プロセス重視の業績評価」など、流行りモノのオンパレードです。

うーん、、、

ワタシの評価では、この銀行は銀行都合の商品サービスを顧客に販売する自己都合プロダクトアウトの典型です。

属人的でインベントでお茶を濁すだけの、なんちゃってリレバンであり、顧客との共通価値の創造とは対極にあります。

こういう銀行の施策は、本来、“徹底的なコスト削減”以外にはありません。CS は安いということだけです。

この銀行のトップは経営方針の大転換をしたのでしょうか?

でも、

にわかに信じることはできません。

眼力のないメディアはごまかせても、プロには見透かされてしまいます。

ワタシから見ても、実体の伴わない作文の域を出ないのでは、と思いたくなります。

たしかに日豊本線アライアンスの3つの銀行のように「販路拡大」で実績を上げつつある銀行がありますが、ここに至るまでの血の滲むような試行錯誤を聞くと、一朝一夕で作り上げられたものではないことに気づきます。

「お客様の商品サービスを売ってこい!」と銀行の本部が現場に号令をかければ動き出すような簡単な話ではありません。

また、「プロセス重視の業績評価」というのもよく聞くのですが、いかなるプロセスを業績評価に組み入れたとしても抜け穴はあります。現場は往々にして業績評価の穴を見つけて点数を稼ごうとするものです。

ワタシはどんなに精緻な業績評価を作ろうが、限界があると思っています。

業績評価以上に大事なものは、地域金融機関の経営理念通りに真摯に動くヒトを創り上げることです。

残念ながら、地域金融機関の多くがやっているような、金融商品サービスのプロダクト研修ではヒトづくりはできません。

そして、ヒトがお客様のために一所懸命に働ける環境づくりです。

ワークライフバランス、働き方改革、業務改革などなど、やることは満載です。

ノルマ型の業績評価を撤廃して成果を上げ始めている地域金融機関は、業績評価を変革する前に、このような土台をしっかりと構築しているはずです。

冒頭のトップの方に申し上げたい。

自己中心のプロダクトアウト病を治すのは、そんなに簡単なことではありませんよ。

あなたご自身が、まず変わらなければ、何も始まりません。


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コメント

  1. 橋本卓典 より:

    まさに認知科学です。「計測されている」と認識した瞬間、多くの人は、「評価項目のための最適化行動」を始めます。結果、顧客本位とはかけ離れた行動を取るのです。評価バイアスです。どうしたら行動をおかしくしてしまうバイアスをかけずに、活動を評価できるのか。ここが金融庁、優れた地域金融機関の最前線の問題意識です。次回作で詳しく書きます。

  2. 新田信行 より:

    おっしゃること良くわかります。部分より全体。その根っこにある経営理念、組織価値が本気で無ければ、何も変わりません。当局もそこまで踏み込んで、対話して欲しいです。