拡大の前に従業員の質向上

週末は、録画をしていたテレビ東京の「カンブリア宮殿」のバックナンバーを見ました。

10月4日の放送は六花亭 (帯広市) の小田豊会長です。

番組の中でとくに印象的だったのは、

(1) “機械だけに頼らない手間を掛ける菓子作り”にこだわる。味や食感の特徴を出す「ここ」という部分は、職人の手作業。

(2) 東京の物産展で飛ぶように売れ、東京出店を打診されても東京には進出しない。北海道以外には店を作らない。「売り上げや規模」を追求するのではなく「従業員の質を維持する」(従業員のレベルが高くなければ良い品を作ることができない) ことで、企業を永続させる。

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AIフィンテックに任せるところと、労働集約的なリレバンとのバランスが腹に落ちていない地域金融機関に見てほしいところは (1) です。

(2) はヒューマンアセットの崩壊を放置したまま、地域外で低金利競争をしゃにむに仕掛ける拡大志向の地域金融機関の経営者に聞かせたい話です。

今から5年半前 (病気で倒れる直前) に AP大学 KN教授、地域の魅力研究所のKDさんとともに、帯広まで出向いて小田会長のお話をうかがったときの感想は、「地域金融機関の経営そのものだ」でしたが、改めてそのことを認識しました。


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コメント

  1. 寺岡雅顕 より:

     「トラバンとリレバンのバランスは?」と問われ、「戦略的に手間を惜しみ、戦略的に手間をかけることだ」と、酔っぱらった席で、橋本卓典さんに語ったらしいのですが、小田会長のお話、まさに地域金融機関の経営そのものと思います。

     しかるに、現場に目を転じると、入行後9ケ月で渉外に放り出す(最も適切な表現と思います)という現実が多くの金融機関であるようです。職員も困りますが、お客様も困りますね。

     人づくりに手間を惜しんではなりません。

  2. 多胡秀人 より:

    9ヶ月で現場に放り出す。

    太平洋戦争の末期にろくな訓練もせず、前線に若者を送り込んだ日本軍と同じですね。

    井上成美のような経営者に、なかなかお目にかかる機会がありません、地域金融機関では。

  3. ミザール より:

    六花亭の従業員さんは、忙しい時でも丁寧で的を得た応対をしっかり身についています。

    同社は有給休暇100%消化が目標でほぼ毎年達成されているとのこと。まず人で人が頑張ってくれる組織風土づくりに重点を置いていることが発展を支えているように思います。そんな社長ですがそれを表に出して自慢はしません。

    一方金融機関の有給休暇消化は、よくて50%程度ではないでしょうか。業績まずありきで、従業員の生活を考えるのは二の次になります。

    金融の仕事は煩雑で、顧客の対応ニーズも様々でありまた顧客が期待する度合いも違い従業員の対応力によるとこと大です。

    それ故に従業員の職場環境づくりにはもっと力を置くべきではないかと思います。しかし従業員も収入第一と考えるものが多いのも事実。

    経営も従業員も目先の利益志向ゆえ問題も生じます。

    金融機関と六花亭の経営者との違いは、哲学を持っているかどうか。そして従業員に文化・芸術・自然に関心を持たせているかどうかではと思います。

    ただ今の金融機関が置かれている環境が厳しいのも事実。哲学・芸術をなどバカなと言われかねません。存続に一生懸命なのです。

    それ故まず日銀・国は、国民志向での政策をしっかり作るべきです。そうした政策の基であれば、メガは反対も地域金融機関はしっかり頑張れる筈です。

  4. 寺岡雅顕 より:

     存続が危ぶまれるこそ、哲学が必要なのではないのでしょうか。哲学のない所には共感は育たないような気がしますが。

     「ばかなことと言われかねない」という感覚自体がすでに傍観者のように感じます。

     成熟社会では共感の得られない企業は生き残っていけないと考えています。

     別の言い方をすれば、京都信金の増田会長が言われるように、満足感と達成感のバランスです。これこそ哲学がないと形作れないものだと考えています。

  5. 新田信行 より:

    リレーションシップキャピタルには、職員も含んでいます。職員が成長すれば、リレーションシップキャピタルは増加します。共通価値の創造のためには、職員の成長が必要なのです。

  6. 新田信行 より:

    私は、共感資本社会を、志ある方と一緒に築きたいです❗