島原鉄道をゆく

日曜日は乗り鉄紀行です。

5年半前に病に倒れるまでの20数年間、全国各地の地域金融機関を訪問していました。

かつて、地域金融機関のディスクロージャー誌は、ネットにアップされておらず、かつ入手が困難、そもそもそれ自体がないところもあり、日本経済新聞社が毎年発行する「金融機関年報」(いまもあるのでしょうか?) の存在は非常にありがたかったです。

年報で金融機関のデータを頭に入れたあとは、地域情報をインプットせねばなりません。地域統計本に加え、山川出版社の県別歴史と、司馬遼太郎さんの「街道をゆく」は必読です。

「街道をゆく 17、島原・天草の諸道」は、シリーズの中でもワタシのとくにお気に入りで、それを手に何度も島原半島と天草を訪れました。

島原と天草の場合、金融機関訪問とはほとんど関係はありませんでしたが、苦笑。

初めて島原入りしたときは、当時の王道ともいえる三角線→フェリーでしたが、その後は

西鉄福岡天神から大牟田まで特急電車に乗車、三池港から島原まで高速船に乗ったり、鹿児島県 蔵之元港から天草の牛深港までフェリーに乗ったり、ルートを変えて現地入りするのが楽しみでした。

船を使わないときは、新大阪からブルートレイン寝台特急「あかつき」で、早朝に諫早着。そこから島原鉄道という乗り鉄の定番ルートをとりました。

現在、島原鉄道の営業区間は諫早〜島原外港の43キロ余りですが、2008年までは島原外港からさらに35キロ、加津佐まで続いていました。廃線によって、島原半島を時計のように走る島原鉄道は15分から35分の間が欠落してしまったのです。

ワタシは、廃止となった島原外港からの区間が好きで、戦国時代以来の貿易港である口之津まで、島原鉄道のディーゼルカーの旅を何度も楽しんだのです。

島原外港駅を出ると、土石流被害を生みだした雲仙普賢岳の全景をとらえ、北有馬駅で下車して日野江城址を見て、さらに原城駅からは原城の遺跡を訪ねました。

日野江城はキリシタン大名 有馬晴信の本拠地であり、原城は島原の乱の折に天草四郎時貞を将とするキリシタンたちが立てこもったところです。

原城から口之津までは7キロあまり。

口之津は16世紀と20世紀前半、2度ほど活況を呈した歴史を持っています。

口之津の市街地にある旧税関の建物の中に展示があり、貿易港 口之津の歴史を知ることができました。

三池炭鉱の積出港 (大牟田) が浅くて大きな船が入ることができず、遠浅の有明海は小型の船で運び、水深のある口之津港で大型船に積み替えるというような説明があったように記憶しています。からゆきさんの悲しい物語も、、、

口之津駅の真ん前にある口之津港から、対岸の天草 鬼池港までのフェリーの甲板から、原城をしっかりと視界にとらえることができました。

天草では崎津、大江の教会、一町田のコレジヨ (神学校) 跡などを訪ねました。

島原と天草を歩きながら、16世紀のキリスト教文化と島原の乱の物語を思い描く旅は至福のときでした。

——
ハカセの写真館、島原鉄道です。

いずれも2008年3月です。

① 大山東駅

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② 南島原駅

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③ 深江〜布津新田

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④ 加津佐〜白浜海水浴場前

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⑤ 加津佐駅

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コメント

  1. ARC より:

    島原鉄道に最後に乗ったのはワタシにしては比較的最近のことでした。といっても2006年。

    天草からフェリーで渡ってきて口之津から乗車しました。

    老親を引っ張っての旅の丁度中程で、そこまで来るのも、奄美大島からフェリーで鹿児島、その後がユニークで、阿久津から長島経由で天草の牛深に渡り、そして島原に渡る、と常人ではまず思いつかないようなルートでした。それもそのはず、実はこれは(記事からも想像できますが)旅芸人殿の案でした。(が、当人はもう覚えてないだろうなあ)

    それにしても、牛深のようなところは普通じゃか行かないし、島鉄も上半分はともかく、下半分は乗る機会がなかなかないので、絶妙の行程でした。

  2. 旅芸人 より:

    ARCさん、

    母上との2006年の旅の企画、よく覚えています。

    鹿児島県長島の蔵之元の船着場は風情があったでしょ。

    何もないのだから。

    ここから牛深へのフェリーは物流のための道路と同じ感じですわ。

    天草の魚は美味かったなぁ。

  3. ARC より:

    ヤア 覚えてたか。

    泊まるならココ、食うならココと旅芸人殿には常々助言をもらってましたが、これがことごとくアタリで、しかも日本中遍く及ぶのが驚き。

    ワタシもアチコチ行ってますが到底及ぶところではありません。

    旅芸人殿の足跡は、円空や弘法大師並みかと思いましたよ。

    因みに、旅芸人おすすめの天草・本渡の店もアタリでした。

    写真にある加津佐といえば…

    口之津の続きで、

    フェリーから鉄道に乗換えたのはもちろん我々だけでしたが、接続は悪く、結構待ちました。

    まあ何とか島原に着きましたが、そこでシマッター!と思いました。

    加津佐(終点)から乗るんだった! 時間はあったのに!、って。僅か3キロ、タクならスグ。

    2年後廃止になったからもう乗れない、、、今でも悔やんでます。

    エッ? また話が小ッサイって?

  4. 旅芸人 より:

    ARCさん、

    確かに加津佐駅まで行くべきでしたね。

    もったいない。

    全区間、制覇ですよ。