金融排除型の融資ポリシーならば合併は解消すべし

本年、合併を予定している地域金融機関のホームページやプレス発表をピックアップしました。

言うまでもないことですが、合併や統合は顧客本位の業務運営のレベルアップが目的であり、合併統合が目的となることはありません。

静岡県の信用金庫の3つの合併案件のうち、2つは当初の合併日を半年から1年延期していますが、先延ばしをしたものの、合併後のビジネスモデルについてのメッセージが非常に弱いことに愕然としました。

いずれも新金庫のスタートまでは半年しかなく、お客様にとってこの合併が従来にも増して有益であることを積極的に発信する必要があるものと考えます。

とりわけ融資ポリシーのところは、地域顧客が懸念をもたないように、十分に説明しなければなりません。

実態を知るよしもないのですが、最悪なケースをあげてみます。

借り手の業況が悪くなると回収に走ったり、安易に融資金利を上げたり、新規融資を手控えたりするような金融排除型の金融機関と、事業再生モードに入り、業況が厳しくともニューマネーを出して厳しい状況に陥った先を支えていこうとする金融包摂型の金融機関との合併の場合、前者が後者を呑み込むことになると由々しき問題です。

後者の地元で金融排除が新たに発生することは予想され、顧客から「合併反対」の大合唱となることは明らかです。当たり前ですよね。

新金庫がこのような愚かな融資ポリシーを打ち出すとは思えませんが、もし仮にそのような展開になるようならば、合併自体は直ちに中止になってしかるべきでしょう。

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コメント

  1. 寺岡雅顕 より:

      「合併後話し合って道を探ればよい」とまさか本気で思っていらっしゃるとは思いたくありませんね。

     

      ましてや、「リレバンで経営が成り立つと、本気で思っているのか」「地域密着の伴走型モデルなんて甘ちょろい理想に過ぎない」といった発言をなさる方がいるとは思いたくありません。もし、そのように思っていらっしゃるとすれば、共同組織金融機関の基本理念にかかわることだと思います。

     かような共同組織金融機関の経営者は、今一度信用金庫法第1条をお読みになり、その意味をかみしめられることをお勧めします。

    【信用金庫法第一条〕

      この法律は、国民大衆のために金融の円滑を図り、その貯蓄の増強に資するため、協同組織による信用金庫の制度を確立し、金融業務の公共性にかんがみ、その監督の適正を期するとともに信用の維持と預金者等の保護に資することを目的とする

  2. 橋本卓典 より:

    協同組織、協同組合は、近代化の代償として、弱者排除、非効率排除を起こさないために岩倉使節団が輸入した人類の叡智です。だから非営利団体なのです。「理念でメシが食えるか!」と、存在を否定するような世迷い事をおっしゃるのではなく、あくまでも「理念でメシを食べる存在」を目指さなくてはなりません。

    他方、合併は協同組織であろうと強者の論理です。合併してからビジネスモデルを考える、という人間らしい支離滅裂さ満点の統合は、論ずるに及ばず。弱者のエリアの事業承継、一件一件、今以上にまともにやるとでも?会計年度に縛られた目先の合理が、ますます求められます。合併したからには目に見える成果を証明しなければならない、というプレッシャーから逃れるのは困難です。目先の成果が最重要になると、組織は崩壊します。スルガしかり、商工中金しかり。

  3. 伊藤貢作 より:

    今は北国の信用金庫に努めております。我々の地域でも合併再編成の議論は、あちこちで話題になっております。一概には言えないのですが、それぞれの信金の営業エリアの地域特性も、簡単に『高齢化、過疎化、人口減少』だけでは片付けられないと思います。

    ほんの20キロも離れていない地域ですら、産業構造や経済界の人脈や力関係などが大きく異なります。私は企業支援部署にいますから、特に、それぞれの地域に根差した企業文化の違いを体感してます。

    そもそも信金などの共同組織は、そこに根差している企業や住民の人達の特徴や特性に、寄り添って生きていますから、金融機関の内向きな議論や員数合わせで、合理化を進めると、地域そのものを枯らしてしまう要因にもなりかねないですよね。

    それぞれの地域が抱える課題に共同で当たる方が、より良く、その手段の一つが合併であれば良いのですが、と思います。合理化の名のもとの離合集散は、他の業界では、結果として地域に良い結果を残していないケースも多いので、とても心配です。

  4. 多胡秀人 より:

    救済でもない限り、またリレバンビジネスモデルを遂行する上でヒトが足りないという事情がない限り、協同組織金融機関の合併はあり得ません。

    「ある程度の規模(たとえば1兆円)がないと生き残れない」というよく聞く話は協同組織金融機関の場合には全くナンセンスです、笑い。

    なぜならばスケールメリットの効果が発揮されるバックヤードは協同組織金融機関ではかなりの完成度で共同化がなされているからです。

    数百億円の資産規模でありながら素晴らしい経営をされている信金信組がありますが、これはバックヤード共同化の賜物です。

    規模だけを目的とする大義なき合併の愚かさを地元メディアは、しっかりと報道する責任があります。そのことを認識していますか、〇〇新聞さん、△△テレビさん‼️