「実質・未来・全体」で議論する取締役会は⁉️

先日、「コーポレートガバナンスの最新事情」についての勉強会に参加したのですが、一番印象的だったのは「取締役会のモニタリングボード化」というところです。

講師のご説明では、

監督者としての取締役と、執行者としての「経営陣」 (業務執行取締役と執行役員で構成されます) を明快に分けることで、取締役会の仕事は、

→ 重要な個別の業務執行事項の決定、
→ 経営方針、経営戦略の決定、
→ 内部統制システム、リスクマネジメント体制の方針決定と監督 • 業務執行状況のモニタリング、

となります。

一方、「経営陣」の仕事は、

→ 権限委譲された範囲内での意思決定 (稟議決裁) 、
→ 自身の担当職務の執行、

ということになります。

取締役会はモニタリング型となり、「経営陣」が提案する経営戦略に関しての議論や、取締役会の承認した経営計画の進捗状況の報告・説明に対するモニタリングが、非常に重要な役割となります。

さて、

平成29年の金融行政方針(森長官の最終年度)で、金融庁は「形式から実質へ」、「過去から未来へ」、「部分から全体へ」の新しい監督検査を提示しました (なかなか実践に移せないようですが)、「実質・未来・全体」は、金融行政に限ったことではなく、地域金融機関の経営にとって最も重要な視点だと思います。

経営陣により提示された経営戦略 (もちろん、「実質・未来・全体」を踏まえたものです) が取締役会で議論されている地域金融機関は、ワタシの知る限り、ほとんど存在しません、残念ながら。

地域金融機関のコーポレートガバナンスは緒に就いたばかりです。


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コメント

  1. 新田信行 より:

    毎度、多胡さんの問題提議は凄いです。

    多くの場合、全体の議論は、個別の決裁事項でないため、あえて取り上げる意志がないと、議題にしなくても済んでしまう傾向にあります。

    その上で、ケース分けすると、そもそも誰も全体を考えていないか、トップが一人で考え決めているか、アンダーグラウンドな密室で決められているか。何れの場合も、社外の目も入れて、オープンな議論はなされていません。コンプライアンスとは、お天道さまのもとで堂々とあるべきだと思います。この実質をどう実現するか?そこから、形式からの脱却がスタートするように思えます。