地銀とバスは同じか?

地銀やバスを地域の企業活動や生活に欠かせない重要インフラと位置付け、競争だけでなく地域サービスの維持にも着目し、独禁法の例外にしようとの政府案が見えてきました。

例外規定を作ることの是非についてコメントするつもりはありませんが、地域銀行と地方のバスサービスを一緒にして論じることには違和感があります。

まず地域銀行が人口減や地域経済の長期にわたる冷え込みで複数の銀行が存在する中で共倒れとなるとの論点には、

地域銀行のビジネスモデルが、トランザクションバンキング(金利での競争、金利以外の差別化の部分は僅少) との前提があります。

実際に地域銀行のほとんどがプロダクトアウトのトランザクションバンキングなので、地方のバスと同次元で考えることが妥当かもしれません。

ただ、トランザクションバンキングであれば、近い将来、AIフィンテックを駆使した低コスト体質の異業種とぶつかることが予想され、地域銀行が束になってかかっても(合併しても)、歯が立つとは思えません。

一方、地域金融機関が本来の業務であるリレーションシップバンキングに取り組めば、規模の大きさはむしろマイナスであり、

「リレーションシップバンキングが顧客に提供できる付加価値は多種多様、顧客ニーズに合致すれば対価は得られる (共通価値の創造)」という展開となります。

ワタシにとって、今回の話は旬を過ぎたものとしか見えないのですが。


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コメント

  1. 橋本卓典 より:

    バスはトランザクションです。より安全、快適、スムーズに移動する交通手段として顧客は望んでいます。「あなたに運転してほしい!」というのはあまりありません。技術が確立されれば自動運転も可です。

    地銀の場合はトランザクションとリレーションの2つの世界があります。顧客からしてみれば「誰でもいいや」というサービスと、「あなただからこそ」というサービスがあります。

    加えて、広域再編というのは、上記だけでなく、人間・組織の心理・バイアスが複雑に絡み合います。力の強い方に経営資源は集中しやすくなります。統合成果を出さなければならないという強迫観念に支配されるからです。

    さらにテクノロジーの進化が広域再編をせずともトランザクションの仕事を代替し、省力化していきます。若者の価値観の変容も顕著です。トランザクションサービスの店舗なら来る意味がありません。これまでの長短金利差&規模拡大のトランザクションモデルが必ずしも正解ではないという「未来の金融」の時代に入っています。この辺りの理解が根本的に欠落しています。

    さらにさらに貸出金利が引き下がるかどうかを競争と、はき違え、統合後も貸出金利は上がらないとか、何を言っているのか意味不明です。貸出金利の話だけなら、政府系金融機関の制度融資とネットのAIレンディングだけでよろしい。民間リアル金融機関は消えた方が世の中のためです。繰り返しますが、何を言っているのか意味不明です。

    独占の概念をどうしても変えたいのであれば、地域内におけるコングロマリットの可能性を模索する方がよろしいのでは?

    ですから地域商社とか、事業承継・事業再生会社の話題が出ているのです。

    多胡さんのおっしゃるように周回遅れの議論が現実の阻害要因にならないよう祈念します。