ファクト

早期退職者と心の病を抱えている従業員の実態。さらには新規採用の状況。

これらは“ファクト”として数値でとらえることのできるものです。

金融行政の地域金融機関に対するモニタリングの中に早急に取り入れてもらいたいものです。

4月8日のブログ「いよいよヒューマンアセットに切り込む」でも書きましたが、新しい早期警戒制度のドラフト (← 中小地域金融機関向け総合的な監督指針の改定案) にはヒューマンアセットが盛り込まれました。

収益の源となる貸付資産も有価証券運用資産も、エンジンとなるのはヒューマンアセットです。

地域金融機関の将来の健全性を見る意味でもヒューマンアセットの実情を“ファクト”からあぶり出すことは必要不可欠と考えます。

ヒューマンアセット崩壊に伴う24条報告→ 25条→ 26条。

こういう展開も予想されます。

「近頃の若いものは、、、」などと嘯いている場合ではありません。


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コメント

  1. 増田寿幸 より:

    多胡さんが地域金融機関のヒューマンアセット問題に警鐘を鳴らされる点に共感します。以下は私なりの論点整理です。そもそも地域金融の本質は顧客との効率的な情報交換業務です。要はお互いを分かりあう「相互理解」であり良きコミュニケーションです。ところで、中途退職だのうつ病などが頻発する職場とは、仲間を気遣う相互理解が不足している職場であり、そのような人たちに顧客との相互理解を深め、真の金融仲介業務を展開できるわけがありません。つまり、この点において、「うつ病発生率」は「金融仲介能力」のベンチマークになるはずであり、多胡さんが指摘されるヒューマンアセットが崩壊しつつあるバンクに地域金融が担えるわけがないのです。

  2. 東北の銀行員 より:

    どんなに仕事が出来る人間でも、周囲に悪影響を及ぼすようでは組織にとってマイナスにしかなり得ません。

    増田さんが仰ったことに近いのですが、そもそも同僚にすら気遣えない人間が顧客との「信頼関係」など築ける訳がないのです。

    そして取引先は表面上「ありがたい振り」をしてくれることも多い為、気付かぬ間にじわじわと組織全体の評価が下がっていきます。

    是非、人事考課の項目に「周囲に良い影響を与えているか」「困っている同僚に手を差し伸べているか」を加えていただきたいと思います。

  3. 新田信行 より:

    かつて私は、ES無くしてCS無しと言っていました。最近は更に、顧客エンゲージメントと従業員エンゲージメント、顧客エクスペリエンスと従業員エクスペリエンス、そして、顧客の幸せと従業員の幸せが、コインの表裏のように思えています。従業員を失えば顧客も失っているのです。

  4. Hさん より:

    「ESはCSに先立つ」と標榜している金融機関は昔から存在していましたが、「職員の幸福度」と言うよりも寧ろ、顧客の金銭を扱う職業として不祥事を防止する意味合いから、主に処遇面での満足度に主眼が置かれていたような気がします。

    いわゆる『倉廩実ちて則ち礼節を知り、衣食足りて則ち栄辱を知る』というものですが、そのような即物的なESが必ずしもCSに良い形で転嫁するものではないことは、某地銀(業界内では高給だったらしい)における不正融資問題からも明らかです。

    ましてや世の中的にパラダイムシフトが起き、「近頃の若いもの」が其々において多様な価値観を持つようになっている昨今、以前のように給与や肩書きだけで“釣る”ことは益々難しくなって来ています。

    最大公約数的な「職員全体としての満足度」ではなく、新田さんの言われる通り、「職員個々人の幸福度」(橋本さんが提唱する「計測できない世界」の一つですね)に真剣に向き合っていくことが求められるのでしょう。

    そしてこの場合において、旅芸人さんが言われる「組織の適正規模」が重要なポイントになると思います。