蟻地獄から出ることはない

今週行われた、連続赤字が続く某地域銀行 (どことは言いません) の決算発表の記者会見の様子が耳に入ってきました。

全国区の経済専門紙や公共放送が鋭い質問を繰り出す中で、地元メディアのツッコミが弱いことに失望感を持ちました。

地元顧客の一番の情報ソースである地元メディアが本質のところをえぐり出そうとせずに、店舗統廃合やATMの話に終始したというのには呆れました。

しっかりしてくれ!

この中で、

全国区経済専門紙の記者がヒューマンアセットについての質問をしたとのことですが、非常に重要なポイントを突いたと思います。

記者)「周辺取材をしていると、若手・中堅の行員の方々が辞めているとの現状を聞く。こうした状況はヒューマンアセットの棄損だと思う。この点に関してはどのように思っているのか?」

頭取)「私どもは中堅・若手が辞めているということがあるけれど、これはメガバンクも含めて金融機関、どこでも起こっているような問題。一概に私達だけの問題ではないと思う。」

これが地域銀行の経営者の回答と言えるのでしょうか。このトップは続投のようです?????

ヒューマンアセットの崩壊を他人事のようにいう経営者の手腕で、この銀行が連続赤字の蟻地獄から脱出することは考えられません。

 

 


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コメント

  1. 橋本卓典 より:

    早期警戒制度は、おそらく多胡さんのご主張を反映していると思われます。「だって●●銀行でも若手が辞めてるもん。ボクだけじゃないもん」と小学生のような屁理屈をこねて、ヒューマンアセットをなめている銀行は手痛いしっぺ返しを食らうでしょう。

    以下、早期警戒制度の監督指針パブコメ案。ここを特に注視すべし→「経営計画等を実行するために必要な人的資源が十分に確保・育成・活用されているか等について留意して検証する。」

    これまさにヒューマンアセットを金融庁がモニターし、早期警戒制度発動の要件としてみなしていくということ。

    (3)銀行自らが経営計画等において想定する将来の収益や自己資本の見通しに関して、前提条件(地域の経済状況や顧客基盤の見通し)、銀行が実施中・実施予定の経営改善に関する施策とその効果(トップラインの増強、経費削減、増資等)、将来発生が見込まれる費用(本店建替・償

    却、システム更改費用、固定資産の減損、繰延税金資産の取崩し、信用コスト等)、有価証券の益出し余力、配当政策、ストレステストの結果(ストレスシナリオ含む)等の観点から、顧客向けサービス業務(貸出・手数料ビジネス)の利益やそれを構成する内訳にも着目しつつ、ヒアリングを実施し、見通しの妥当性について検証する。

    その際、銀行が自らの経営理念・経営戦略に照らし、どのような金融仲介機能を発揮しようとしているか等を踏まえ、将来の収益・費用の見通しが盛り込まれた経営計画等がその考え方と整合的になっているか、経営計画等を実行するために必要な人的資源が十分に確保・育成・活用されているか等について留意して検証する。

  2. 山猿 より:

    多胡さまがご指摘された銀行を『想像』して、そこの経営理念を検索してみました。

    ・・・なんと・・・

    経営理念とは、私は『これを実践するからこそ、社会から存在を許されるもの』だと思っています。もちろん完璧とはいわなくとも、それにむけて一生懸命努力していく事が求められます。それも最優先で。当たり前です。

    その結果での『利益』のはずです。

  3. 東北の銀行員 より:

    果たして、その頭取には中堅若手行員の顔が見えているのでしょうか。

    私は以前、他行(九州地方の銀行です)の行員が頭取とサシで飲むと知りカルチャーショックを受けたことがあります(笑)。

    金融機関本位の推進をして「収益を出す」のではなく、顧客本位に徹した結果「収益が出る」、澤上龍さんの言葉を借りれば「儲けるんじゃなくて儲かる(著書より)」、という理論が未だ多くの金融機関で理解されていないように感じます。

    オウム返しのように顧客本位を口にするのは簡単ですが、「営業推進」の片手間では全く意味を為しません。

    「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあり」です。

    勇気を持ってやってみることではないでしょうか。

  4. 東北の銀行員 より:

    スミマセン。

    「瀬もあれ」ですかね(笑)。