金融庁の政策評価会議に出席しました

昨日は金融庁の政策評価に関する有識者会議に出席しました。

公開ベースで行われ、多くのメディア関係者を含む傍聴者のもとでの議論でした。

以下はワタシの発言の骨子です。

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「金融システムの安定と金融仲介機能」について意見を述べる。

1) 深度ある対話がポイント

横軸 (→ 金融包摂、事業性評価、事業再生など) あっての縦軸 (→安定的収益の確保、健全性)というところを「深度ある対話」によって、しっかり監督検査してもらいたい。

縦軸が強く出すぎると、(金融排除が起こるなど) 本末転倒になりかねない。

横軸は「深度ある対話」でないと切り込めない、縦軸はファクト分析でできるが。

深度ある対話のための金融庁内部の人材面での強化が急務 、プロパー職員はもちろんだが、金融庁は外部人材が多い、でもルールベース対応の人たち(会計士やリスク管理経験者)が多いことは否めない、金融機関で現場経験の豊富な人材の積極採用を。

2) ”対話でしっかり見て欲しい“のは金融機関のヒトのところ

2つある、「経営人材」と「実働部隊である従業員」。

前者はガバナンスということで監督検査の対象だが、ここでは形式主義が蔓延している、経営者が本気にならねばガバナンスの枠組みも絵に描いた餅。ここを対話で切り崩してもらいたい。

後者の従業員のところでは前代未聞のことが起こっている、おびただしい数の早期退職、心の病の急増、採用での苦戦、ヒューマンアセットの崩壊。

不良債権や有価証券運用の実態と同様に、まずはヒューマンアセットの実態を把握すべきである、ファクトとして数値で捉えることは難しくない、すぐにやるべき。

ヒューマンアセットが有形資産を作り上げる根幹だから、当然のこと。この数値が悪ければ早期警戒制度の適用になる、4月に公表された「健全性についてのディスカッションペーパー」にも書かれている。

3) デジタライゼーション(横断的施策) については、「システムが経営そのもの」つまり、“ITガバナンス” (過大システム、非金融との戦いへの対応など) を金融機関経営者が正しく理解しているか、しっかりと深度ある対話の中で切り込んでもらいたい。

ポスト金融検査マニュアル時代の、融資の資産査定/引き当ても、画一的ルールからフォワードルッキングのプリンシプルベースに変わる。資産査定は「経営理念→経営戦略→融資ポリシー」が一気通貫の線上になければならず、経営そのものである。これを審査部や融資管理部門に丸投げしていないか、これも深度ある対話で切り込んでもらいたい。

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金融庁サイドからは対応する旨の回答をいただきました。


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コメント

  1. 橋本卓典 より:

    極めて本質をついたもので、どれもが極めて重要です。そして極めて軽視されている。金融庁が、地域金融が真に対応するのかを我々は注視しなければならない。Let’s see what happens.(どなるど・とらんぷ)