Xさんからのメッセージ

ワタシの信頼する友人で、某地域銀行の本部において組織的継続的リレバンの浸透に向けて尽力していたXさんが久しぶりに営業店の最前線に出ています。

彼からの近況報告の中にあったメッセージはとても勇気づけられるものです。

《地域の経営者の方々と話をすると、やはり取引金融機関の選別に関しては「とことん付き合い、支えてくれるか否か」が重要であり、金利の相談を持ちかけてくるお客さまはおりません。そして「とことん付き合い、支えてくれるか」の判断基準はビジネスマッチングやソリューション提案といった難しいものではなく、昼夜を問わず顔を合わせる中で「人間として信用できるか」、究極的には「人として好きになれるかどうか」であると肌で感じております。

これは浅はかな知識や付け焼刃の提案でどうにかなるものではなく、少し大袈裟かもしれませんが「これまで生きてきたその人の人生そのもの」そして「地域活性化に対する情熱はいかほどのものか」といった、担当者自身が持つ人間的な魅力や本質を問われるような判断基準であると思います。》

「地域に対する熱い情熱」がなければ、お客さまとの信頼関係が築かれることはなく、本気に付き合ってくれるとは思えません。

ソリューション、コンサルティング以前の問題です。

地域金融機関の経営者はコンサルティングの強化などと耳障りの良いフレーズを発する前に、現場が熱い情熱を持って働けるような仕組みづくりを優先すべきではないでしょうか。

ワタシはそういう経営者こそが本物だと思います。


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コメント

  1. 橋本卓典 より:

    TKCの7月号でも遠藤長官が指摘していましたが、金融機関が「相談相手」ではなく、「交渉相手」である以上、真の信頼関係は築けません。

    アクセルロッドの「囚人のジレンマ」では、しっぺ返し戦略(或いは、初回許し型しっぺ返し戦略)がゲーム戦略として有効とされます。

    しかしながら、上記は都会のような「お互い、逃げられる、出し抜ける関係」においての戦略かなと感じます。地域のような「逃げられない状況」においては、しっぺ返し戦略より有効なのは、もはや「ゲーム理論」ではなく裏切り行為すら微塵もよぎらない相談相手になることです。これこそが地域金融の未来の姿だと思います。金融機能付きコーチング&メンターです。

    まずは個の解放です。組織ではなく、個として向き合えるか。「ああ、この人は、厳しいことも言うけど、個として向き合ってくれているんだなあ」と感じてもらって、ようやく玄関先に入れたということです。こうした「個の連続体験」を経なければ、「組織への信頼」など決して醸成されないと思います。

    AAP(心理的安全・ポジティブ)とは組織内は勿論、組織外の関係者とも共通のプラットフォームとしなければなりません。精神的隷属を克服するには、どうしたら良いのでしょうか。これが私の次回作に向けた関心事です。

  2. 増田寿幸 より:

    完成された解は示せませんが、多胡さんの「現場が熱い情熱を持って働ける」とか、橋本さんの「この人は、厳しいことも言うけど、個として向き合ってくれているんだなあ」というような現場育成はまさしく経営目標のど真ん中にあり、その取っ掛かりは「傾聴力」の強化です。企業経営者の話を聞く姿勢、聞く能力、です。聞いてからどう応えるかはその後の問題で、まずは、聞くことです。これが現代の若者はネット文化の影響でとても弱いのです。なぜなら普段の生活で自分の関心事にかかわる情報をスマホで集めることで済ませていて他人の関心事に深い興味をよせるということが下手なのです。大学でリベラルアーツ科目が選択されなくなっていることも同様の現象です。自分とは価値観や生き方の異なる他人を許容する文化が大切です。それを分かりやすく言えばAAP(心理的安全性)なのだと思います。

  3. 寺岡雅顕 より:

    現場の第一線に立つ多くの職員のかなりは、理念と現実のギャップに「失望し、白けている」というのが実態と思います。

     失望したうえ白けた彼等を、「飴と鞭」で尻を叩き、それでも成果の上がらない職員にはパワハラを働き、時には手をだすという愚行も現実にはあったと認識しています。

     こういった問題は、サイレントに内密に処理しようとしても、投稿サイトへの書き込み等で瞬時に拡散する時代です。それは採用を難しくすると同時に離職に拍車をかけるという負の循環を生みだします。

     

     彼らの「しらけた感情を情熱に、失望を希望に」変えていく施策とリーダーシップが求められる時代だということだと思います。安心安全ポジティブ(AAP)に働けない職場では、業績を支えるヒューマンアセットから崩壊してしまいます。

     金融機関の経営職や管理職に求められる人材像にも、パラダイムシフトが確実に起こっています。

     過去の成功体験は通用しない時代が来ようとしています。お取引先、職員、ご本人の幸せの為に、過去の成功体験の呪縛から、少しでも早く抜け出して欲しいものです。

     

  4. 楢山 敬 より:

    xさんからのメッセージ、とても共感いたします!

  5. 新田信行 より:

    地域金融機関の存在目的は、地域の繁栄だと思います。そして、地域が衰退しているとしたら、地域金融機関がその目的を達成出来ていないということです。存在目的を問うところから、価値創造や組織文化の問いが生まれます。地域金融機関の誇りを、バンカーとしての誇りを取り戻したいですね。