共通価値の創造の前に

7月29日のブログの内容と重複する内容があることをご容赦ください。

数日前のことです。

「事業性評価なんて口だけ、担保と個人保証という姿勢は変わっていない。二重保証の問題だって改善しない。このままでは廃業だ。」

生き残りをかけて必死にのたうち回っている中小企業の某地銀に対する怨嗟の声が耳に入ってきました。

地域が衰退し、人口減少に直面している地域の事業者は、当然の流れとして、大都市圏で地元産品の販路を拡大したり、地域外からの人たちを呼び込むことで、地元にお金を落としてもらうことを考えます。

そのためには資金が必要です。商品開発や運転資金、さらには設備の更新 (たとえば旅館業であれば、リノベーション資金や生産性向上のための IT 投資など) のための費用です。

 地域活性化のために企業がこのような事業リスクをとっているにもかかわらず、資金提供する側の金融機関が事業の中身を見ることなく、担保や個人保証の有無だけの融資スタンス (担保保証を全面否定しているわけではありません) とはまったく話になりません。

地域活性化のためにリスクに向かい合っているのは事業者だけで、金融機関は地域活性化のためのリスクテイクを怠っていると批判されても反論できないのではないでしょうか。

それでいて、「地域とともに」と嘯く金融機関、とんでもありませんね。

事業者と地域金融機関の「共通価値の創造」、その延長線上にある「地方創生」は、事業者のみならず地域金融機関がともに事業リスクに立ち向かわない限り、達成することはできないのです。

 


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コメント

  1. 増田寿幸 より:

    リスクテイクを怠りながらHPやテレビコマーシャルで「地域とともに」と嘯く地域金融機関はまま見られます。そしてそういうBKが目先の収益確保に成功しているケースがあります。しかしながら長期的にはやがて顧客から見放されてしまうという経済節理があるのも事実です。地域のためにもここのところがより明白にならねばなりません。そのために全国一斉の地域中小企業者を対象としたBKごとのNPS調査は効果が期待できるのではないかと思います。顧客はある意味で正直ですから。

  2. 平 祥志 より:

    地域金融機関の多くは、収益の源泉である「信用リスクをとる」ということを怠ってきた。それは事業性のみならず、個人に対しても同様である。

    Face to Faceを掲げる信用金庫でさえ、個人ローンの多くは保証会社に依存がしがちである。

    このため、Face to Faceが戦略上、どのような競争優位性につながるのか、自分には見えない。

    プロパーの個人ローンを強化するには、何が必要でだろうか。