ES,CSを前提としたバリューアップ

昨日のブログ「記者会見の風景@松江」の最後の箇所で、SBI の幹部が、

「解散請求する意図はまったくない。それよりも課題としてしっかりと銀行のバリューアップを図る。」

と発言したが、地元の顧客や行員としては、

「従業員のモチベーションを上げ、顧客本位のビジネスモデルを進化させて、銀行のバリューアップを図る」

と言って欲しかったと書きました。

このように感じた背景には、かつての苦い体験があるからです。

バブル崩壊の時代、乱脈融資で巨額の不良債権を抱えた地域金融機関 Xはファンド Pの出資を仰ぎました。

P Xのバリューアップを図るべく、筆頭株主として経営改革に乗り出しましたが、その手法はコンサル会社Qによる「聖域なきコストカット」と「プロダクトアウト型のトランザクションバンキング」でした。

この時期、リレバンの機能強化の重要性は金融庁により発信されていたものの、P-Q によるバリューアップ作戦にはリレバンの要素はありませんでした。

数年を経てファンド Pはエグジットし、Xには新たに大口の株主が入りました。

新株主の思想は、いまでいう顧客本位のビジネスモデル、時間軸を持った顧客と金融機関の共通価値の創造です。

ワタシは新株主に近い人間として Xの内部を見ることになったのですが、P-Qの足跡は、「顧客離れと従業員の疲弊」でした。

幸運にも、当時は地域金融機関の早期退職が稀であり、従業員の流出がなく、新しい経営トップの経営手腕、CSの前にESありの経営哲学により、従業員たちは蘇り、金融機関自身の業績も少しづつ改善してきています。

もし万が一、島根銀行の出資者が、ファンドPのようなバリューアップ戦略をとったら、地域にとってはたまったものではありません。

出資者サイドのプレスリリースからは、同社の持つ高度な金融ノウハウが推察できますが、是非ともそれを「従業員のモチベーションをアップを土台にした顧客本位のビジネスモデル」に活用していただきたいものです。

 

 


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コメント

  1. 橋本卓典 より:

    地域のバリューアップなくして、地域金融機関のバリューアップはありません。SBIの考える地域のバリューアップとは何かが、焦点になりますね。

  2. 寺岡雅顕 より:

    ~9月12日某経済紙朝刊の記事から~ 

     ・〇〇銀再生銀「1年かけない」?

     ・経済合理性は重視する?

     時間軸の中でとらえる発想を織り込んでいただきたいものです。地方創生と地域金融の再生、および職員のモチベーションは、経済合理性では割り切れないと考えています。

     アナウンスが足らないのか?マスコミの意図でこのような記事になったのか?

     連携先について「『業績は問わないが、地域活性化に一緒に汗をかけること』を条件にあげた」とあります。出資するグループのCEOのご発言に希望をつなぎたいと思います。

  3. ある島根県人 より:

    1年以内に再生するとは凄いです。

    国宝松江城よりも高いご立派な本店の有効活用も含め、地元関係者としては、SBIさんのノウハウと手腕への期待大です。

    中小零細企業もお見捨てなく。