顧客本位の合併ですか?

地域金融機関にとって「顧客本位の合併」かどうかは、合併による余力をどれだけ地域の顧客や地域社会に還元できるかにかかっています。

合併によって捻出された余力には、①人的余力 (ヒューマンアセットの部分) 、②店舗統廃合などで捻出された余力 (費用の部分) 、③資本余力 (救済合併の場合には余力にはなりませんが) などがありますが、地域顧客への還元・地元社会への還元という面で即効性があるのは資本余力のところです。

潤沢になった資本を見合いに、地元インフラへの投資や地元企業再生への決断をすればいいからです。そもそも資本が足りないから、踏み込めなかった分野であるはず。そういう問題意識があれば合併が決まれば直ちに施策として打ち出せるはずです。

たとえば、本年1月に合併した浜松いわた信用金庫は、5月に有望なスタートアップ企業や新事業展開などを支援する新拠点の開設と支援ファンドの発表しました。産業育成機能の強化により中長期での地域産業力を向上させるためです。

一方、昨日の日経電子版にあった長崎の銀行合併後の施策には、顧客本位で一番即効性のある「 ③資本余力の還元」を見つけることはできません。

~ 十八銀行と親和銀行は29日、2022年3月をメドに両行で185カ所ある営業拠点を統合して114拠点にすると発表した。テナント料など物件費で年間10億円の削減効果があるとみている。両行は20年10月に合併し、十八親和銀行になる計画で、余剰人員は多くの課題を抱える長崎県の地域活性化などの分野に再配置することになる。(同記事より抜粋)~

県外資本だからしょうがないか、、、

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コメント

  1. 橋本卓典 より:

    金融庁が、地域金融機関における競争概念を見直すのであれば、なおのこと合併に伴う「①人的余力 (ヒューマンアセットの部分) 、②店舗統廃合などで捻出された余力 (費用の部分) 、③資本余力 (救済合併の場合には余力にはなりませんが) 」を念入りに追跡調査、公表しなくてはならないと思います。当然、業務改善命令も視野に。

  2. 増田寿幸 より:

    私は金融庁が地域金融における競争の効用を全部放棄しようと考えているとは思いませぬ。信金、信組がいるじゃないですか。かって北拓が倒れた後の北海道のように信金信組がガリバー地銀との競争を地域、地域で担う可能性がありまする。