顧客のためにならない数値目標はやらせない

週末は、信用金庫X の最前線で本物のリレバンを遂行しているある支店長の話を聞きました。

長年、取引先企業の経営改善/事業再生で苦労した人です。

その一端を紹介します。

〜 貸すも親切、貸さぬも親切、

〜 ゾンビ企業というが、ゾンビを作ったのは金融機関ではないか、

「貸し手責任」を重視していることが、業績面でトップクラスの評価につながっていると感じました。

本部からの顧客のためにならない数値目標は、支店のマネージメント層のところで堰き止めて、担当者には落とし込まず、現場は顧客本位の業務に専念できる職場環境にしています。

結果として、

その地区で顧客から一番選ばれる金融機関となり、金利競争なくトップ地銀メイン先の肩代わりという事例も出ています。

また取引のない中小企業からも経営に関する相談を受けることも多く、それが新規取引につながっています。

顧客にとって害をなす、顧客にとって意味のない目標は一切やらないので、それらの項目は加点されませんが、総合評価はトップクラスです。

改めて組織的継続的なリレバンは、その本質を理解して臨機応変に行動できる支店長の頭数を揃えられるかどうかに尽きることを痛感しました。

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コメント

  1. 増田寿幸 より:

    リレバン支店長の話
    「その本質を理解して臨機応変に行動できる支店長」がどのようにして生まれるのかは、岩波さんが言ってたように、顧客とのやり取りで「信頼と共感」を肌で感じた現場での成功経験の質と量だと思います。だとすれば、自分の体験だけでなく、他人(同僚)の体験も自分事に取り込めれば、より多くのリレバン支店長が生まれるはずです。だからこそ顧客との心の触れ合いを「暗黙知」にとどめずに「ストーリー知」に転化しそれを全体で共有する仕掛けが必要になりまする。

  2. 橋本卓典 より:

    組織内のコミュニケーションが大事である理由は、「仲良しになる」「風通しが」ということ以上に、「暗黙知」から「ストーリー知」へ、熱エネルギーを転換させる上で欠かせないから、ですね。ということは、本質の抽出力や熱量を失わせない翻訳力、表現力、伝達力が必要になりますね。人としての成長そのものです。

  3. 東北の銀行員 より:

    X信金さんの評価項目は知るすべもありませんが、例えばもし数値目標が自行収益のみで顧客の為になるものが一切無かった場合や、あったとしてもウェイトが殆どない場合、どんなに顧客本位やリレバンをがんばっても評価されない・報われないという悲惨な結果になりそうですね。

    八代アソシエイツさんのHPでも採り上げられておられますが
    「世の中にはがんばっても報われないひと、がんばろうにもがんばれないひと、がんばりすぎて心と体をこわしたひと…」

    上野千鶴子さんの東大入学式祝辞をつい思い出してしまいます。

  4. 山猿 より:

    『本質を理解』させるのは、私の経験上アタマでは難しいと思っています。心で感じる事や、魂が震えるような体験をさせる事が必要です。
    上司の仕事の一つは、部下にこのような経験をさせる仕組みをつくる事と、それが継続的に行われるような仕掛けをする事じゃないでしょうか。他の組織の若手にも一緒に仕掛けたりもします。そうして育った若い奴らがいつか立派な支店長になってくれるはずですし、若いうちに一緒に経験した仲間が他の組織にいれば、困難な事案に立ち向かう時も必ずその人のチカラとなるはずです。

  5. 森脇ゆき より:

    リレバン支店長!総合評価では上位に入られているとのこと、素晴らしいです。
    東北の銀行員さんが懸念されていたように、評価項目が目先の収益に偏りすぎていると現場職員を動かすのは難しい金融機関の支店長もいらっしゃるでしょう。
    なぜなら副支店長や課長が本部または全店でみる自己評価を気にして支店長に従わない様子を見たことがあります。

    お客様からの感謝のお言葉が一番のご褒美、また、お客様からのお叱りが一番の薬。
    X信金の支店長の部下さん達は、これを味わうことが出来たのですね。金利競争なく・・・なんて最高ですね。「お客様の幸せ」が仕事上の北極星だと気づいたら、今後は何が正しいのか迷うことはないでしょう。
    1人の支店長が、多くの職員を気付かせてくれる。時間のかかるお取り組みですが、1人が2人・・・50人が100人!その職員の先には1人につき100人単位のお客様がいます。
    投資のように未来に複利効果が現れた瞬間に、地域と金融機関セットで生き残り組と、そうでない組が瞬時に選別されそうすね。

    そもそも、金融庁や本部が「お客様本位の業務運営」(当初はFD)という言葉を掲げた瞬間に個人的には違和感がありました。(ルールが増えるうえに、そんなことを金融庁が掲げても本音と建前にすぎないだろうと)
    「金融行政方針」を直接確認することで自分の解釈の間違いを知りましたが、各金融機関の自主的なKPIでは違和感が残っています。
    現場でお客様から直接「ありがとう」と言われたことが無い人が、なぜお客様の幸せや、求めているものがわかるのでしょう。お客様本位にルールはありません。現場の職員が日々お客様と接して積み重ねていくものなのです。

    私も修行の身です。お客様のしあわせが何なのか、毎日失敗しながら積み重ね中です。