新しい八代論考です

2ヶ月半ぶりに、八代アソシエイツのホームページに新しいコラムがアップされました。

「地方経済の生産性が向上しない理由」

労働生産性を評価するための生産活動モデルは、コミュニティとの共生が基本となる地域金融機関の分析には不適という論考です。

「地域とともに」という社是を掲げながら自己中心のビジネスモデルを邁進しているレイジーバンクの場合にはその限りではありませんが、苦笑。

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コメント

  1. 八代恭一郎 より:

    自らを育みながらも今や煩わしくなった小さなコミュニティとの関わりを絶ってまで自行の財務上の生産性向上を目指す英断をしたことがこのモデルでは明らかになるのですから、旅芸人さんのようにレイジーバンク呼ばわりしたら、行政や資本市場に怒られちゃいますよ(笑)

  2. qzs04203 より:

    レイジーバンクは無用の長物。

  3. 橋本卓典 より:

    冴え渡る八代論考を拝読し、類型化とまでは言えないのですが、私が目の当たりにした「低生産性」の現場を述べます。

    ■「いい人すぎモデル」:①「金融排除」で取りあげた、食品工場さんは、納入先の細かいニーズに、細かく応えすぎたために、アイテムごとの採算管理を度外視してしまい、苦境にあえいでいました。つまり、地元のお客さんから人気はあるけど、収益が厳しい先でした。②同じく、島根で取材した水産会社も同様です。良い魚を競りで仕入れる目利きは抜群なのですが、仕入れ値がテキトーで、売り上げは拡大していくのに赤字が拡大していくという悪循環。これも「顧客に人気があるのに苦しい中小企業」でした。

    ■「精神的奴隷モデル」:これは銀行から聞いた話ですが、ある部品工場は、粗利が低くて、社長の給与が高い。事情を聞いてみると、大手自動車メーカーの下請けで、粗利を出してしまうと、コスト叩きにあう。幸い、売上原価は調べにこないので、給与を高くして、粗利を低くして、これ以上のコスト叩きにあわないようにしている。悪意はないが、大企業の精神的奴隷支配のために、「低位飛行経営」を余儀なくされている中小企業です。銀行は、大企業による精神的奴隷支配から解放するために、価格競争力をつけましょうと支援しています。経営者のやる気次第でしょうが、これも現実です。

    ■「生産性向上は『大きなお世話』モデル」:勉強会でご一緒する京都信金増田会長からよく京都のお菓子を頂戴しますが、収益拡大路線を方針としているお菓子屋さんにお目に掛かったことがありません。太平記の時代から生産方法を変えずに続いているとか、「天皇さん」が飢えをしのいだとかいう京菓子で、ただただ未来に小さく家業を継承していこうという会社。いわば「目先の生産性向上は雑音・おおきなお世話」というモデルです。1000年続く家業にとっては、生産性向上など大きなお世話です。

    ■「業界特殊事情モデル」:次回作で取りあげる金融マンから聞いた、老舗旅館の話です。「社長は2人いる」という業界の特殊事情が経営を圧迫していた。それは、もう一人の社長「料理長」。業者から食材を高く買い取る代わりに、キックバックを受け取り、旅館の利益を圧迫し続けていた。しかし、料理長を切れば、旅館は開業できない。そこで、金融マンは、複数の旅館の料理長をジョブローテーションさせる仕組みを構築、キックバック&不正仕入れを防止した話。

    本当にやる気のない経営者も確かにいるとは思うのですが、どの程度でしょうか。。。反社会的勢力以外は、やる気はあるのに、何らかの患部を抱えているだけというところが大多数では?という印象です。廃業支援とは「刀折れ矢尽きる」という極限状況に初めて、出てくる話で、決して「推進」するものではないような。。。

  4. 八代恭一郎 より:

    橋本さんの事例分類、本稿の核心をついています。さすがのフィールドワーク、あっぱれですね。コミュニティ認識や経営理念の差がある事業者間では不幸が発生しますが、小さなコミュニティの例にはサプライチェーンも含まれ、同じコミュニティ構成員全体の持続可能性を守ることが影の経営理念のように機能するのですね。以下橋本分類毎にコメントさせていただきました。

    ■「いい人すぎモデル」:

    事業者のサプライチェーンを小さなコミュニティとして生産活動を行っているわけですな。
    食品工場の納入先や水産会社の仕入先(漁師?)の持続可能性に不安があるのかもしれません。おそらくは「長くお世話になった納入先とともに生きていく」、「腕のいい漁師の生活を守る」といった影の経営理念があるのでしょう。

    ■「精神的奴隷モデル」:

    これはコミュニティ認識が異なる事業者間で生じる不幸と考えられます。大手自動車メーカーの所属するコミュニティはおそらく地球で、拙稿で指摘した通り、サプライチェーンのごとき下請けの持続可能性などは気にしていない。SDGsを経営理念に掲げていて、そのコミット度合い(拙稿のウ)も大きいはずです。下請けの持続可能性は”生かさぬように殺さぬように”程度の考えだと思われます。大手自動車メーカーの生産性向上のためだけに利用されているのですな。

    ■「生産性向上は『大きなお世話』モデル」:

    万世一系の天皇家がコミュニティに入っている京菓子屋さんです。拙稿の計数ウは100%近い正真正銘のコミュニティ事業。生産性は日本のために犠牲にする必要がありますな。

    ■「業界特殊事情モデル」

    旅館の飲食部門特有の、勤務先(=販売先)旅館のコミュニティとは別の(閉鎖的な)板前コミュニティに所属することから発生する問題です。飲食部門が持続可能性に苦しむ旅館(=仕入先)に対する拙稿計数ウが極端に低いことから生じます。経営者のいうことを全く聞かない強力な労組みたいな感じでしょうか。
    ただし、ジョブローテーションさせる料理長同士が同じ閉鎖的なコミュニティ構成員だったらどうなるかが心配です。

  5. 八代恭一郎 より:

    申し忘れました。
    どんなコミュニティに生きて、どんな影の経営理念からどういった現象が惹起する化を分析すると、事業性を深掘りできるのではないでしょうか。SWOT分析でありきたりの評価を書き続けるより、ずっと効果的だと思いますね。
    事業性を深掘りできない事業性評価シート大量生産しているから、廃業支援が推進されているのでは・・・。

  6. 橋本卓典 より:

    イヤハヤ、まさにまさに。我がフィールドワークでも

    「生産性を上げるために経営してます」

    という御仁(経営者)にお会いした試しがありませぬ。しかし、それぞれ「何か」を守ろうとしているのは確かです。それが何か。そこに触れないと評価にも理解にも支援にもなりませんね。

    本当のところ、どうして事業をしているのか、を知ろうとしてませんよね。

    「影の経営理念」

    素晴らしい。計測していない世界こそ本質的です。