地域金融のいま、第2弾

第2弾は意外 (失礼しました) な金融機関でした。

本日、日経新聞 中国版の「地域金融のいま (中) 」の主役です。

岡山県総社市に本店を構える吉備信用金庫。

貸出残高(3月末) 619億円、岡山県の8信用金庫中 5番目と小ぶりです。

この記事がスゴイのは、耳目を集めるような話題性やイベント性に注目するのではなく、地域金融機関の本来のミッションに則って、忠実に顧客本位の業務を行なっているところにフォーカスした点です。

~自由に使える資金が少なく、設備や人材確保など新たな投資に多くを振り向けられない。担保がなければ融資を受けることも難しい――。地方の中小・零細が共通して抱える悩みの一つだ。そうした取引先の経営支援につなげようと「お金の貸し方」を見直したのが岡山県総社市に本店を構える吉備信用金庫だ。(本文より)

資金使途の明確化と入金確認を前提にした専用当座貸越 (フリーローンではない) を、“破綻懸念先を含めて”無担保で提供するというのが、経営支援につながる「お金の貸し方」なのです。

~事業が順調に回るために必要なキャッシュを限度額として設定することで、環境が厳しい顧客でもまずは資金繰りの改善につなげてもらう。(本文より)

本記事では森俊彦さん (もと日本銀行、金融庁参与) が「融資の実行はスタートラインという考えに基づいている。」とコメントしていますが、専用当座貸越は事業性評価そのものであり、そこから多面的な本業支援につながるのです。

~(吉備信金の) 神崎常務理事は「仕入れから販売までの商流を担当者がつかみやすくなる」と話す。どの事業がお金を生み出せているのかを企業と一緒に把握することが、資金繰りだけでなく損益の改善にもつながる。売れ行きが厳しくなれば外部機関の知恵も借りつつ、ビジネスマッチングや販路拡大、専門家の派遣といった本業支援にも早期に乗り出せる。(本文より)

吉備信金のような地域金融機関の王道を組織的継続的に進んでいる地域金融機関は全国でも十指に満たないというのがワタシの印象なのですが、そこに光をあてたこの記事を日本中の地域金融機関の人たち、地域の中小小規模事業者の人たちに熟読してもらいたいものです。

ワタシもそうですが、上っ面だけの事業性評価や、言葉が踊るだけのコンサルティング営業に疑問を持っている人たちの支持を受けることは間違いありません。

「地域金融のいま」、明日は第3弾です。

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