泣き言を言うな

「持続可能性を自ら放棄するNGフレーズ」

八代アソシエイツの新しい論考です。

同社のホームページに掲載されました。

泣き言を言うだけで、すくんでいる地域金融機関の経営者には耳の痛い話です。

ちなみに八代アソシエイツの顧問先の地域銀行は、厳しい経営環境の中、組織的継続的リレバンを推進していますが、経営陣から現場の末端まで、NGフレーズを使うことは禁じられているそうです。

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コメント

  1. 東北の銀行員 より:

    気になって、私の本業支援先に対する貸出金利の実績を過去4年ほど遡って調査したところ2%前半~3%後半、平均3%を少し割る程度でした。

    金利設定のヒントはある本業支援先から、「無料でコンサルティングをやるんだったら、コンサルフィーを融資金利にオンして『事業性評価金利』とでも説明されればお客さんは納得しますよ。」と言われたことにありました。
    目から鱗が落ちる思いでした。

    思うに「貸出金利が厳しい」という泣き言というのは、言い換えれば「リレバンが足りない」なのではないでしょうか。

    そして当然そこには、適性な金利を設定していることを評価するモノサシも必要ですね。

  2. 八代恭一郎 より:

    組織には、真のリレバンができるかどうかを、東北の銀行員さんのような担当取引先の金利水準で判断されると困る人たちが(協同組織でさえも!)かなりの数でいます。本業支援のような自行財務改善に短期的貢献のないものより、ファイナンスの契約ばかりをプロダクトアウトでかき集め、短期的に収益やボリュームを増やすことにばかり注力してきた人たちで、しかも、そういう人物が組織に長く認められてきて、そこそこの地位にまで登りつめて組織の意志をその人が決定するようになっています。そして、その成功キャリアは後輩の目にも強く印象づけられ、優越的地位を活用した交渉力や巧みなプロダクトアウトマーケティングテクニックを、努力して身につけていきます。そして、このような人物ばかりが組織のマジョリティを占めることになります。おそらくは、東北の銀行員さんの組織も銀行全体では3%を割る金利の半分か3分の1くらいの貸出金利回りになっているのではないでしょうか。それが組織の多数決の結果なのです。
    こうした人は、貸出金利のような取引先が最後まで譲歩してくれないようなものの譲歩を引き出しうる真のリレバンには最初からしらけているものです。ファイナンス契約の大量獲得を邪魔することのないなんちゃってリレバンは、ここからどっと湧き出してきます。
    コンサルフィー分が特定できる形で融資金利にオンされるのであれば、会計士や税理士は、支払われる金利に消費税の課税が必要となる可能性があるといいます。まってましたととばかり、「お客様に税務面で迷惑がかかり、顧客本位ではない」と言い出すでしょう。かくして、多くの地域金融機関は、「事業性貸出金利回りの改善」ではない、「(事業者向けコンサルティング)手数料収益の増強」を経営戦略として掲げるようになっているように思えます。行政も本事務年度で提示された政策パッケージは、ダブルギアリングや預金保険料率のような「すぐに経営統合するといいことあるよ」政策ばかりで、コンサルティングフィーの消費税上の取扱の明確化などは、地域金融業界からの検討要請もないからか、相手にもしてくれません。トホホ・・・

  3. 橋本卓典 より:

    八代論考は、極めて正論ですが、慎重に言葉を選んでいるようです。

    金融機関の方は「貸出金利が厳しい」ではなくて、ちゃんと言いましょう。「貸出金利を引き下げる以外にお客様にお役に立てるアイデアも、それを収益化するビジネスモデルも私の頭には、わいてこないのです」と。厳しいのは貸出金利ではなく、あなたの頭が厳しいのです。

    外界と交わり、どのようにお客様の悩みが変容し、どのように世界が動き、新しいテクノロジーが何を可能とし、何を省略し、何を省略してはいけないのか。付加価値の高いプロフェッショナル集団をつくるにはどうしたらよいのか。そういう努力を惜しみなく注いで、工夫と研鑽を重ねてこそ、ステータスが相対的にあり、給与が相対的に高いバンカーたる所以ではござらんのか。内輪で集まり、日銀と金融庁の悪口を言うだけで、若手行員の未来なんて本当のところ考えていないし、現に行動に移していないのではござらんか?

    顧客本位と収益の両立、なんていう意味不明なミッションを現場に押しつけてはなりません。「資金需要がなければやることはない」と、開き直る銀行員に未来はありません。

    「現場を知らない者のたわごとだ!」とおっしゃりたいのでしょうが、それも今や自己弁護に過ぎず、地域には虚しく響くだけです。

    やっているところはやっています。直接取材して、知っているからこそ、申し上げる訳です。

  4. 八代恭一郎 より:

    橋本さん、ビンゴ!立派な学歴をお持ちでも、金利以上に厳しいのがご指摘の頭です。
    一緒に酒のんで、ゴルフやっても金利は厳しいので、せめて冠婚葬祭は必ず顔を出す(頭はいらないが肩書きがいる!)ことで、リレーションを維持しようとするような現場なんか知らなくて結構です。これだけのフィールドワークをこなした知見を有する橋本さんに現場を知らないという輩の言ってる現場はこんなもんでしょう。

    • 橋本卓典 より:

      昨日、某地銀幹部と会食しましたが、もはや同資産規模の地銀と比べ、100億円以上の経費の差を付けているようです。さらにバックオフィスの人員も多くの銀行は、数多くいらっしゃると思いますが、同行は、「いても1人」だそうです。それを可能にするシステム化を進めています。営業は、全営業員がコンサル化でリースから、システムから・・・あんまり書くと怒られるのでこの辺で。ちなみに給与は上げていくそうです(笑)経営って、こういうものではないでしょうか。40代より下の若い方々はどう思いますか。

  5. 森脇ゆき より:

    泣き言を仰る経営者にお聞きします。
    「ご自分はいつも一番安いワイシャツを買いますか?」
    「ご自分はいつも一番安い豆腐を買いますか?」
    質問を変えます
    「ご自分のこだわりのある(例えば)ノートは高くても買うのではないですか?」
    「みかんが大好きなあなたは”すごいみかん”が発売されたら高くても買うのではないですか?」

    私は素晴らしく使いやすい3,000円のガーデニング用シャベルを勧められても買いません。無料であってもいりません。なぜならガーデニングをしないからです。しかし
    ガーデニングが趣味の方は、その価値を理解すれば買います。

    金融は限られた人のみが利用する特殊なサービスではありません。
    全役職員が想像することができると思います。「自分が顧客になった場合どうするのか」を。