受取金利の累積額

「お客様からいただいた金利の累積額のランキングを示したら役職員の意識がガラッと変わった」

先日会った某地域金融機関の経営企画担当役員さんの話です。

受取金利の累積額の大きい貸出先のうち、かなりの数がもはや存在していないことが判明しました。

こういうお客様に対し、果たして十分な資金繰り、経営改善、事業再生の支援ができていたのでしょうか ?

地域における事業者の新陳代謝は容易ではありません。新規創業以上に既存事業者の再生や第二操業が重要です。

銀行法第1条の一つの目的「健全性」へのこだわりが強すぎたために、もう一つの目的である「国民経済の発展に資する」のところがおろそかになっていたと言われても反論の余地はありません。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメント

  1. 増田寿幸 より:

    この問題意識いいですねえ~。この視点で私たちは何を整備すべきなのかという点で考えがまとまりつつあります。次回の東京会の冒頭で30分いただき皆さんに聞いていただこうと思っています。お題は「共通価値のその先へ」です。

  2. 橋本卓典 より:

    なるほど❗新たなsensing。対顧行動がいただく金利と整合していない奇妙な現実を変えようというアプローチ。いただく金利に見合う行動が当然。

  3. 田舎の若造 より:

    リスケしながらそれなりに経営改善を頑張ってきて営業利益は出るようになってきたけども金利負担が高すぎて利益がでない。借入返済もできない。そうこうしているうちに経営者も高齢になり借入が多額なので事業承継もできない。あとは経営者が亡くなってしまうと廃業するしかない。
    このようなケースがどの地域も共通してそれなりに存在しているのではないかと思います。今は何とか存続してますが5年後10年後はこういう企業は潰れてますよね。

    いずれの金融機関も収益が厳しい中で、経営的には(今現在は)ドル箱ともいえるこのようなリスケ先に踏み込んだ金融支援策をしてない(短期的な経営目線ではやらないほうが得策である)と思われますが、地域がどんどんシュリンクしている中で地域にメシを食わせてもらっている地域金融機関が果たしてそれでいいのかなぁと日々問題意識を抱えています。

    こないだ寺岡先生に地域金融は経済学と社会学のリベラル アーツだと講演で教えてもらいましたが、要はいかに中長期的な目線に立って自分ではなく地域経済のために考えられるかということかと思います。
    事業承継ってお題目でどの金融機関もそれっぽい取り組みをしてますが、過剰債務の取引先も地域を構成する一員だと認識して、これらも含めてどれだけ本気で取り組めるかで金融機関の本気度が図れるのではないでしょうか。

  4. 寺岡雅顕 より:

    【田舎の若造さん】
     「地域金融は経済学と社会学のリベラルアーツ」とは多胡先生のお言葉です。「地域は時間軸で考えなければならない」ということを端的に表現するフレーズと思い、使わせていただいてます。

    ◆◆
     少し話は飛躍しますが、不幸にして破綻された企業を見て見ると、大きく3つのパターンがあると考えています。

    (1)地域金融の担い手としての自覚をもって、地域金融機関が伴走しておれば「避けられたのでは?」と思われるケース。
    (2)金融機関(時として支店長等職員)の都合で資金を欲しがる企業を利用し数字をのばし(業推無罪)、窮境状況にあることが表面化すると「見放してしまう」ケース。
    (3)企業側の悪意を見抜けず「数字の為に取引を開始」し、結果的に金融機関に「大きな損害を与えてしまう」ケース。等々

     (1)(2)については、遅ればせながら、近時議論は進んでいるように見えます。しかし、(3)については、多くの金融機関では、「審査の甘さ」で片付けられており、危険を感じます。業推無罪に加え、金融機関として「当然持っているはずの基礎」(※)が失われていることに大きな理由があると考えています。
     ※「基本的な財務実態把握(事業性評価=理解の一丁目一番地)ができていない」・・・某金融機関向けの試験委員会で毎度話題に上がります。

     地域金融機関は、今一度、地域金融に取り組むために必要な基礎知識について、「健全性の確保」と言う視点で、再考し再構築すべき時期に来ていると感じています。

  5. 増田寿幸 より:

    「田舎の若造さん」さんへ
     まさに貴殿の「地域がどんどんシュリンクしている中で地域にメシを食わせてもらっている地域金融機関が果たしてそれでいいのかなぁ」という問題意識は当を得てると思います。そして「過剰債務の取引先も地域を構成する一員だと認識して、これらも含めてどれだけ本気で取り組めるか」ということで、ここが問題の焦点です。過剰債務という言葉が表すように取引先は「資金」だけでは満足できません。そのような場合は資金供給(それ自体が金融機関には負担なのですが)だけでは問題の先送りと結果としての問題の深刻化しかもたらしません。例えば、社長を代行するような高度人材の供給などが求められています。地域金融機関はそれに真正面から取り組まねばならないのだと私は考えます。