資金だけではなく、本業に集中できるような支援を

個人事業主を含む中小・小規模事業者を対象に、金利などの条件を大幅に緩和した貸付制度を創設し、日本政策金融公庫などを通じて「実質無利子、無担保の融資をする」

との3月7日の首相の発言ですが、資金をつければ自走できる事業者にとっては朗報であるものの、そういう事業者だけではありません。

マジョリティともいえる後者に対しては、資金をつけるだけという行為から一歩進めて、事業者が資金繰りに追われることなく、本業に集中できるようなサポートをすることが金融機関の使命だと思います。

地域金融機関の口からは本業支援という言葉が気安く出てきますが、地域金融機関ができる本業支援には所詮限りがあります。イベント的なビジネスマッチングや外部業者への丸投げで本業支援だと胸を張っている地域金融機関の勘違いには呆れます。なんちゃってリレバン以外の何者でもありません。

「本業支援」と大上段に構える前に、まずは事業者に「本業に集中してもらうための支援」を実行すべきです。

「本業支援」はもとより、「本業集中のための支援」は、失礼ながら、資金を出すことに力点の置かれた日本政策金融公庫にできるとは思えず、資金供給プラスアルファの部分は、地域銀行や協同組織金融機関、信用保証協会等でなければできません。

このことは政治家や官僚の方たちに認識してもらいたいところです。

中小小規模事業者の資金繰り支援、経営改善支援を現場で日々行なっている X氏の発言は本質をついています。こういう現場の本当の声に耳を傾けねばなりません。

~「資金の出しっ放し」が対策だと思うのは間違いです。個人事業主や小規模企業であれば経理の方と一緒に資金繰り表を作ってみるとか、他社での労務管理の成功事例を当てはめてみるとか、今回の資金を含めて借入金のリバランスを検討するとか、『ここは私達がやりますから本業に集中して下さい』との観点で、お手伝いすることが重要です。よく本業支援と言いますが、中途半端な知識でマジの本業はできません。邪魔になるだけです。

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コメント

  1. 長野の銀行員 より:

    X氏の仰る通りです。
    お客様が事業に邁進できる環境を作るのがぼくらの役目であり、お客様が本業に集中頂く事が非常に重要であると思います。
    今後、伴走または代走になるのか想定出来ませんが、お客様と一緒にこの危機を乗り越えるしかありません。
    【心ある】地域金融機関の皆さん、頑張りましょう!

  2. 橋本卓典 より:

    「しっ放し」は、事業者も、金融機関自らもダメにしていくと思います。X氏の指摘は、常日頃からしていなければならないことで、現在もそれは変わりません。事業者が消えれば、技術も人も散逸し、失われてしまう可能性があります。