公庫へのバトンタッチ

新型コロナウイルスによる資金繰り悪化で、多くの中小小規模事業者が日本政策金融公庫の窓口に殺到しています。

聞くところによれば、公庫はリタイアしたOBを動員してまで大車輪の対応をしているようですが、融資実行までの時間を要する (某地域の場合には資金交付まで1ヶ月) 状況です。

そういう中で、民間金融機関による、公庫からの資金交付までの “つなぎ融資” が始まっています。

顧客の惨状を見て、書類がどうしたこうしたと言わずにに、すばやく対応したという X氏によれば、

「(資本性融資もプロパーで出しているので) 公庫との連携協定は無意味だと思っていたが、連携協定の応用という位置づけで突っ走った。」

今回のような危機対応の緊急融資は本来、

〜 間内を広く(→ すべての金融機関の窓口で取り扱う)

〜 期間を短く(→ つなぎ、対策が出るまでの時間稼ぎ)

〜 手続きを簡素化する (→ 既存の危機対応融資は手続きが複雑で民間金融機関は手を出さない)、

であるべきで、このことは2年数ヶ月前の「商工中金あり方検討会議」でも有識者サイドから提言されています。

危機対応融資の商品性については、今後関係省庁で是非とも検討してもらうこととして、いまこの瞬間は、

全国各地の民間金融機関の窓口で公庫融資までの「つなぎ融資」に積極的に取り組んでもらいたいものです。

公庫融資のボトルネック現象は直ちに解消しなければなりません。

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コメント

  1. じょっぱり より:

    借り手の立場から政策を考えるべきです。その意味で、借り手のアクセスポイントから考えると民間金融機関を窓口にし、そこですべてが完結することが望ましいのではないかと思います。借り手のBSを総括して見て相談できるためにも、メインが全体をデザインできるリーダーシップがあることが、迅速さの具体化だと思います。どこがよくやってて、どこの対応が悪いというレベルの状況ではないと思います。

    • 晋作 より:

      2年前、商工中金のあり方検討会の委員だったある人は、「危機対応融資は銀行から農協まで、すべての窓口で取り扱うべき」と主張してました。議論を聞いていて、その通りだと思いましたが、そのあと何も議論が進んでないようですね。
      すみやかに危機対応資金の制度設計に手を加えていたら、今のような混乱は避けられたのではないでしょうか。

  2. 八代恭一郎 より:

    政府系の無利息融資を地域金融機関の窓口で取り次げるべきとの意見には強く共感しますが、拙稿の主張通り一切のファイナンス支援が無力化する環境下、この無利息融資が最後のファイナンス支援といったムードが増長し、責任共有制度適用外100%協会保証の融資に保証料どころか(利率を指定された)利息まで地公体が補給するといった無利息協会保証付制度融資が登場してきました。政府系金融機関の貸出勘定ではなく、債務者にとっては民間銀行の貸出勘定を使った無利息融資です。地域への安定的な資金供給、特に苦しい業況の事業者への安定的な資金供給という高尚な大義に、この地域の地域金融機関は血湧き肉躍る状態ではないかと思います。地域への安定的資金供給状況のKPIは貸出残高や実行額であることが一般的です。シェアが高いほど地域経済活性化へのアツイ思いを持っていると見なされます。
    私は貸出残高ではなく、未保全額で測るべきとか主張してきましたが、一言申し上げたい。この制度融資は融資ではなく、優先補助金であると。行政から見れば、(普通)補助金払ったら、税収の改善くらいでしか戻ってくることはありません。ところがこの制度融資は、うまくいけば補助金の一部が税収の改善以前に優先的に戻ってくるから、優先補助金なのです。銀行の貸出勘定を使うからといって、優先補助金をあっせんしているに過ぎないため、貸出残高に計上すべきではなく、リレバン以降開示している補助金助成金支援実績に計上して分別管理・分別開示されることが筋ではないでしょうか。
    しかし、そんな計数管理はレイジーバンクならしないでしょう。コロナ対策支援を一生懸命やった証として、貸出残高の来期以降の伸びで優先補助金もないまぜにして、地域を支えた主体は元利金の一切の負担をした行政ではなく、我々だとアピールするでしょう。これがレイジーバンクであっても、シェアが高ければ、地域になくてはならない地域金融機関パスポートを得られるからくりです。