🚩ある社長へのメール

最近お目にかかった、ある中小企業経営者へのメール(一部)です。

「何も分かっていなかったんだな」、ワタシ自身の猛省の一文です。

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財産をすべて失うリスクのない金融人が「金融機関はお客様と一緒に事業リスクをとるべき。伴走支援」などと軽口をたたいてはいけないなと大いに反省いたしました。

相談相手なんておこがましい、まずは孤独な社長さんに語ってもらい聞いてあげる、でも最初は貸し手と借り手の関係だから本音を聞くことはできない、でもそれを重ねることで信頼感をもっていただける、その中でお客さまの事業のことを一歩一歩理解して一緒に考える、こういうプロセスなのかな、と思いました。

地域金融機関には地域屈指の人材、情報、ネットワークがあります。これを地域のお客様のお役に立てることが、とりわけコロナ禍では必須となります。お金を貸してオシマイ(あとは返済を待つだけ)という話ではありません。

金融機関は事業者が消滅すれば終わりです。「事業をやりたい、事業を引き継がざるを得ない」、そういう人たちを徹底的に支援しなければ、金融機関自体の存続も危ぶまれます。しかるに多く金融人にはその意識がないし、金融機関の経営者にもその認識が欠落しています。

「金融人を覚醒させる、それが地方創生の第一歩」と長年にわたり大風呂敷を広げておりますが、まだまだ視界不良です。それだけ金融人というのは、居心地の良いサラリーマン根性に染まっているということです。微力ですが、20年間言い続けていたことを壊れたレコードのように発信し続けるつもりでおります。

〇〇様におかれましては、さらなるご活躍をされますよう、陰ながら応援しております。

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コメント

  1. 橋本卓典 より:

    私も多胡さんとご一緒にお聞き致しました。

    「借りた金は返さなければならない。金融機関は事業資金を提供してくれているファンドの出資者のような感覚。銀行の優越的感覚は仕方がない。父も自分の目の前で銀行に土下座した」

    と率直に語ってくださいました。今はしっかりと経営されている方です。私が金融機関に期待することは?とお聞きしたところ「うーん。何かありますかね。。。」と返答にお困りでした。

    これは、ある意味で衝撃的でした。金融機関に期待することなど何一つ思いつかない。金融機関への無言の痛烈な否定ではないでしょうか。カロリー金融時代にワッショイで貸し込み、その間、事業者に付加価値らしいことはゼロ、挙げ句、保全に走る始末なのに、事業者からは怒りすら湧き上がらない。

    金融機関が合併で貸出金利が上がらないだの、コストダウンだのとやっている間に、高齢化して変化について行けない経営者は廃業されるでしょう。技術や雇用は地域から消失してしまうでしょう。こうした事態を危機、リスクだと感じない人の脳の中を覗いて見たいのです。

  2. 増田寿幸 より:

     金融機関人の端くれとして申し上げまする。金融に従事する者は、シェークスピアの昔から、金貸しが社会の嫌われ者であることを承知しています。貸し手と借り手の情報の非対称性は半端なものではありませんから。例えば、「貸すも親切、貸さぬも親切」という言葉の「貸さぬも親切」は、借り入れ側には、金貸しの勝手なロジックと聞こえることもありましょう。その金貸しが伴走支援などと言っても社会は簡単には受け入れません。
     しかしながら、昨今の地域金融の現場では、貸し手と借り手が互いに深く信頼しあい、「一切の経営情報を開示するから全力で支援してくれ」との合意に至る事例がままあるのも事実です。肌感覚としてコロナはこうした事例を増やす方向の風でありましょう。しかも世間の働き方改革はついにyahooの副業受け入れ宣言にまで進み、やがて地域における中小企業と金融機関の相互人事交流が始まる気配が漂うのです。だとすれば、貸し手と借り手の情報非対称性は、「新時代のリレバン」が新たな解消策を提示するのだと私は考えています。
     つまり、地域金融機関の伴走支援という旗印は、一部の無理解など蹴散らして、高々と掲げられねばならないのでありまする。

  3. 寺岡雅顕 より:

     「金融業界でなにが起こっているか?」すら理解しようとしないのに、お取引先企業の「事業性評価ができる」などと考えるのは、金融機関の思い上がり。お取引先企業から見ると、金融機関職員は安定した給料と生活が保障されたお気楽サラリーマン。この認識からスタートしないと真剣な会話は成り立たなかった・・・というのが、20年前、私が経験から学んだことです。

  4. 長川康一 より:

    企業経営者とその企業を担当した金融機関職員のその事業経営への責任感は月とスッポンの差があります。職員はその企業だけを担当しているわけではありませんから、事業に関わる時間が全く違いますし、事業に対する思いも。
    私たちにできることは、話を聞くこと、そこから何かお手伝いをさせてもらうこと。それで信頼してもらえれば最高。後はサポータとして背中を押してあげ、声援(関心・気遣い)をすること、そして後任にしっかり引継ぎをすることです。そう、金融機関の人間として商品の仕組みを分かりやすく説明することも重要です。

  5. 地域経済活性化支援人 より:

    金融機関に期待することが思いつかない…
    確かに衝撃的です。が、しかしよくよく考えてみると、ウチも含め多くの「金融機関」に対しての期待なんて意外とそんなものかも知れません(今のところは)。
    但しこれが例えば「私という銀行員」に対しての期待は?となると全く違った返答になると思われるので、この点については検証してみます。