🚩リレバン不毛の地に告ぐ

首都圏や関西圏の中には、「リレバン不毛の地」が少なからずあります。中京地区もそうかもしれません。

こういう地域では、属人的取組みやイベントでリレバンをやっていると装い(当局へのカモフラージュ?)、プロダクトアウト型の金融商品販売にひたすら邁進するトラバン金融機関がひしめき合っています。

逆張りで組織的継続的リレバンをやるほうが顧客の支持を得て、“先義後利”の「共通価値の創造」により自らの収益につながると考えている地域金融機関は数えるほどしかありません。

理由は二つ。

一つめはこういう地域は顧客数が多く、とりあえずは「楽して儲かる」狩猟型ビジネスが成立すること(顧客の離反が進行しても)。もう一つは経営に中長期的なビジョンが欠けていることです。経営が「楽して儲かる」を選択し、中長期的ビジョンが欠如ということは、レイジーの証です。

レイジーバンクさんにはお気の毒ですが、プロダクアウト型のトランザクションバンキングの消費期限は近づいています。異業種やネット系などの侵攻は思いのほか迅速であり、コロナ禍はそれを加速するものと考えられます。

リレバン不毛の地に金融地殻変動が起こり、ほどなくレイジーバンクは浮き足立つことになるでしょう。

翻って、

ウイズコロナ・ポストコロナでは取引先の「事業支援、経営改善支援、事業再生支援」が主戦場になります。この業務は先義後利の哲学なしに遂行することはできません。

これこそが組織的継続的リレバンですが、資金供給さえしていれば(それも全額保証付き、苦笑)コロナ対策を行っていると勘違いしている金融機関が多いのには呆れるしかありません。

遅きに失した感は否めませんが、正しい方向に転換するしかないのです。

できないのなら、経営陣は交代すべし。

以上、リレバン不毛の地にある地域金融機関において事業再生支援の任にあり、経営や上司の理解なく孤独な戦いを続けている某氏との意見交換の中で思ったことです。

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コメント

  1. 寺岡雅顕 より:

    【融資のわかる職員がいなくなった】
     ・・・とはよく耳にする言葉です。

     中小企業は財務基盤・経営基盤も脆弱なケースが多く、事業継続性を見極めることができなければ金融機関にとってリスクが大きい取引であることは、否定できない事実だと思います。だから事業性を見極める力を求められるわけですが、残念ながら持ち合わせてい金融機関は少ないようです。

     事業継続性を見極める力が無いがために、「事業支援、経営改善支援、事業再生支援」に踏み込めない(否、踏み込まない)」というのもありそうですね。

     事業継続性を見極めるには、相手企業の財務体力と収益力実態、およびその収益力の源泉を把握することが必須ですが、その力が無いままで表面的に「事業支援、経営改善支援、事業再生支援」を取り繕うとしたら、将来、当該金融機関の存亡と地域経済に計り知れない打撃を与えることになると感じています。

     融資人材の育成は、時間がかかります。必要な知識はそれほど多くはありません。しかし、通信講座や検定試験に丸投げし、キャンペーン商品拡販のための研修を優先しているようではおぼつきません。まさか「ゼロゼロを使って新規開拓するポイント」などといった研修を優先し、社内通達を出した金融機関などあるはずがない・・・と思いたいのですが(笑)。

     金融機関に体力がないことを理由に、目先の利益と保全強化(保全が効かない場合は回収)を目指す金融機関もあるようですね。

     「プロダクトアウト型商品の量をさばくことで眼の前の利益を上げないと生きていけない。当局からもそれを求められてきた(と思っている???)」というのがよく聞く理由です。金融機関の資本不足の問題は、一部運営が変わった金融機能強化法をうまく使えば一定の解決は可能と考えますが、人材の問題はそうはいきません。

     バブル崩壊後、多くの金融機関では、正攻法の融資を目指す職員は「業績推進(意味のない数字づくり)を邪魔する奴。」として排斥されてきました。いま、その「つけ」が回っていると考えてしまいます。

     「いまの時代に適応できる経営者に交代」するのは当然として、融資人材の再構築には今すぐにでも取り掛かって欲しいものです。

     えっ? 今の経営者が必要性を認めていないから、やっぱり早急に経営者の交代を考えなくては・・・。 なるほど(笑)(笑)(笑)。

     
     

     

  2. サイトヲ より:

    元「中の人」として、山を動かすに至れなかった責任を痛感しております。
    今般の新型コロナ禍に際しては、都内より首都圏最遠の地に本部を置くある信用組合が、地元自治体/商工会議所とのタッグの元、「コロナ倒産を出させない」取り組みとしてプロパーの緊急小口融資制度の創設に尽力されていたものの、率直に申し上げてそれ以外に特筆すべき取り組みを行った金融機関はほぼ皆無です。
    一方、小生の古巣機関は、新型コロナ禍を受けて融資は原則として既存先/ゼロゼロ融資中心の方針に転換したと聞き、愕然としました。協同組織金融機関の看板が泣くと、情けない思いで一杯です。
    力量不足でスピンアウトしてしまった者のせめてもの贖罪として、「リテラシー」を事業者サイドから高めていくお手伝いをコツコツと重ねていかなければ…との思いを新たにしています。

  3. 高見守久 より:

    多胡先生のおっしゃる通りです。孤軍奮闘しても、レイジーバンクの中では評価されず、報われません。今後のウイズコロナ・ポストコロナにおける取引先への「事業支援、経営改善支援、事業再生支援」では、当該地域金融機関の事業性評価に係る実力を問われることになります。金融当局も性善説に囚われず、厳しく監視していただきたい。その理由としては、業態に関わらず、行職員による横領・着服に係る不祥事件が時折発覚しており、ガバナンス自体も崩壊しているようでは、既存取引先への資金繰り支援のプロパー融資もできず、取引先からソッポを向かれるものです。そのような金融機関は近々淘汰されるでしょう。