🚩2つ目の“荒技”についての感想

このブログで何度も書いていますが、ワタシは地域金融機関の資本統合(合併や経営統合)は、救済でもない限り、非現実だと思っています。

そもそも資本統合しなくても規模を前提とした効率化は、業務提携・連携でほとんどカバーできる、これが一番の理由です。

さらに合併にかかわるシステム統合等バックヤードの効率化のためのコスト(機会費用も含む)や、企業文化の融合に関わる砂を噛むようなエネルギーの消費をコスト換算すれば膨大なものとなります。だから救済(資本不足でリスクテイクができない)でもない限り合併を選択する経営者はいないものと思います。

いまはコロナ対策に多大なコストをかけねばならず、合併のためにコストを割く余裕はありません。

~政府は地域金融機関の再編を促すための補助金を2021年夏にも創設する。地銀や信金が合併・経営統合に踏み切った場合は、国がシステム統合などの費用の一部を負担する。統合1件あたり最大で30億円程度になる見通しだ。(本日夕刻の日経電子版イブニングスクープ)

「再編促進の補助金」、これは10日に発表された日銀の当座預金への上乗せ金利の適用に続いての“荒業”であり、あくまでも再編を推し進めたい?行政サイドの執念を感じます。

確かに合併の障害となる一つの要因はこれで解決するでしょうが、この程度(失礼‼️)の補助金をもって「救済色のない合併」を決断する経営者が果たしているでしょうか?

現実的な合併は、今後コロナ禍でバランスシートが痛む可能性のある金融機関の救済がらみのものであり、この場合にはシステム補助金以上に不良債権処理に関わるコストを考えていかねばならないでしょう。こっちの方は大変ですわ。

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コメント

  1. 北門信用金庫企業支援室長 伊藤貢作 より:

    もの作り補助金と同じ末路になるでしょう。国が出す補助金の、糊代分だけシステム屋さんの見積りが高くなるだけです(笑)

    合い見積りで合理性を担保とか言っても、実際の流通を知らないから、そのカラクリを見抜けないか見てみぬフリか…

    誰のための補助金になるのか、楽しみなところです。

  2. 増渕勝人 より:

    いっそのこと、討ち死に覚悟で県内の中小企業の債権をバンバンカットして、他県の金融機関に統合される。
    そうすると、自分の県の中小企業は生き延び成長するところも出てくる。
    合併のコストは、申し訳ないが最終的には全国の税金負担ということになるが。
    その県では末代まであがめられる。
    どうですかね、この考え方、ヘンタイですね。

  3. 橋本卓典 より:

    いやはや、メインフレームの旧態依然なシステムへの統合に補助金出すのなら。。。インセンティブの考え方がハチャメチャ。顧客起点のビジネスモデルを可能にするシステムに転換する金融機関に一部補助したらいかがかと。典型的な手段と目的の混同にならんように。目的は、顧客起点のビジネスモデル(つまり顧客と金融機関の持続可能性)でしょ。