🚩PBRが10倍

「住信SBIネット銀行」の上場の詳細が明らかになりました。

本日の日経朝刊「住信SBI上場承認、カギはBaaS、銀行機能提供に注力、提携先拡大が試金石に」、

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20220216&ng=DGKKZO80170000V10C22A2EE9000

この記事から株価に関連する箇所を列挙します。

~想定発行価格は1株1920円

~想定発行価格に基づく上場時の時価総額は2999億円、あおぞら銀行やめぶきフィナンシャルグループに肩を並べる

~想定価格に基づくPBR(株価純資産倍率)は2.2倍と、0.4~0.5倍台の3メガバンクの4倍以上

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住信SBIネット銀行のビジネスモデルは、そもそも効率化による価格競争を追求するもので、今回の上場のポイントとなる“BaaS”もそれを他業態にも広げていくための手段です。

想定発行価格でのPBRが地銀のそれの5〜10倍であることは、株式市場が地銀に対し、地域密着型で労働集約的なビジネスモデルからの脱皮を求めていることですね。

株式市場は、中小小規模企業の事業変革支援に代表されるようなリレーションシップバンキングを、上場地銀には求めていないことを改めて認識しました(前から分かっていますが)

リレバンが儲からないとは思いません。そう決めつけられているのは、中途半端だから、もっといえば本気度が足りないからだ、と旅芸人ブログでは発信しています。

ただ、リレバンが株式市場が要求するような高収益をたたき出し続けられるかといえば、そうではありません。粛々と利益を積み上げていくビジネスモデルです。

そして、大都市圏を除くと、地方銀行は地域内の数少ない上場企業であるとともに、重要な雇用の受け皿です。

行員を大切なヒューマンアセットと位置づけ、地元企業、経済社会の持続と成長に資するのを目指すのならば、果たして上場を続ける意味があるのか。

しっかりしたガバナンス体制を構築することは当然とした上で、非上場の可能性を考える時期に来ています。

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コメント

  1. ランスロ より:

    そもそも金融業は労働集約型なんでしょうか?私はその前提にクエスチョンマークがつくのですが。。。

    労働集約型と考えている以上、これまでのどう考えても無駄な作業を伴った、高コスト体質から抜けられないと思うのですが。

    地域密着・リレバンの方針で行くにしても、高コスト、労働集約型のスタイルから脱却していかなければ、フィンテックの破壊的イノベーションの前に、早晩淘汰されてしまうことは避けられないと思います。

  2. 長川康一 より:

    私は信用組合の人間ですので、その仕事は組合員やお客さんとの接点・時間をどれだけ多く持つかと思っています。しかし、今、信組職員の組合員等との接点・時間は大幅に減少しています。原因は各種事務の複雑化に伴う内部作業の増加が最大の原因です。これにより信組の地域密着性が低下しているように思っています。
    これを改革するためには「コスト」という観点からでない、事務作業をどこまで単純化するかが最大のテーマです。
    これにより業務課・営業課という垣根もなくなり、組合員にも分かりやすい事務手続きとなる事により、信組職員全員が組合員と接触時間を増やすことができ、組合としての組合員との接点量・接触時間数は大きく拡大され、このことにより新しい価値創造沢山湧いてくるのではないか。
    世は経済の再生・拡大と騒いでいますが、人が動かないかぎり、カネだけで再生・拡大などできないと私は思っているのですが。