3月に行われたリージョナルバンキングサミット(x 日経・地方創生フォーラム)の様子を本日の日経朝刊の全面広告から窺い知ることができます。
中竹さんと日下さんの対談セッション「問いの力」は、
金融商品ありきのモノ売りに明け暮れている地域金融機関の現場の人たちに聞いてもらいたい内容でした。
「地域金融機関と地域企業の関係に置き換えれば、ソリューションを提供する以前に、取引先企業を良くしたいという目的を持って、問いを発することが重要だと受け止めた。」
との日下さんの発言は、
ソリューション提案との“こじつけ”で、デリバティブ取引によりアップフロントのフィー獲得に躍起になっている地域金融機関の現場の人間にはドキッとするものです。
コロナ禍のいま傾注すべきは、お客さまが事業に専念できる環境を整え(真の資金繰り支援)、ポストコロナを展望した事業変革を伴走支援することで、そこにDX やSDGs の視点を組み込んでいくことです。
“こじつけ”と書きましたが、伴走支援のプロセスのなかで、デリバティブを必要とする可能性は否定しませんが、事業変革支援の中心に位置付けられるものとは思いません。(蛇足ながらワタシは1980年台のデリバティブ勃興期からこの業務に約20年関わっていました。企業ファイナンスにおけるデリバティブの正しい使い方は熟知しているつもりです)
そして事業変革支援のためには、当該企業と取引関係のある他の金融機関や信用保証協会などの中小企業支援組織との連携を深めることが必須となります。
こういう「王道」にはやっているふりで背を向け、プロダクトアウトの金融商品サービス(デリバティブも含む)のモノ売りで手数料稼ぎにうつつを抜かす地域金融機関は後を絶たちません。(1990年台にデリバティブの伝道師と言われてきた人間としては腹立たしい思いです。)
狩猟民族を彷彿させるモノ売り姿勢に疑問を持つ現場の人たちの失望感は高まり、早期退職は止まりません。
目先の手数料収入のために大切なヒューマンアセットを失うことの愚行はもうやめませんか。