🚩大きくなっても信用金庫らしさを貫く〜ジンテックセミナーから

30数年前ですが、邦銀勤務時代に全国の多くの大手信用金庫幹部の方たちと話す機会が結構ありました。

地方銀行に伍する規模を持ちながらも、協同組織らしさを発揮しており、銀行とは違うとの強いこだわりに爽快感がありました。

「金は銀より上。銀に成り下がるな」という小原鐵五郎さんと舟山銀行局長との昭和20年代のやり取りを信用金庫業界の皆さんから教えてもらったのもこの頃です。(当時、小原さんは全国信用金庫連合会のトップでした)

そのなかの一つ、X信用金庫ですが、最近の資産規模ランキングを見ると当時からかなり順位を落としています。

合併もあり、量が全てではないのですが、昨今、X信用金庫の話が耳に入ってこないのは残念です。

当該地域の業界をよく知るPさんに話をうかがうと、X信用金庫はプロダクトアウトのノルマ漬けでよく知られる地元地銀との消耗戦に明け暮れているとのこと。

成長戦略を株主から要求され、右肩上がりの事業計画でひた走りの上場地銀と、地元経済の状況次第で収益のアップダウンがあり、地域のボトムラインをも支えていく責務のある協同組織金融機関とは、そもそも違うビジネスモデルです。

昨日のジンテックセミナー(第2回)のパネルディスカッションで京都信用金庫の経営思想を垣間見ることができました。

京都信用金庫も30数年前と比べると資産規模ランキングは下がっており、トップテンからは外れているものの、ますます信用金庫らしさを顕示し、その存在感は地域でも群を抜いています。

昨日のパネルに登壇したSofunの経営者が、「以前から京都信用金庫には憧れがあり、取引金融機関になってもらいたいと思っていた」というのも宜なるかなと思いました。

PさんはX信用金庫の経営層と接点が強いそうですが、経営層の悩みは深いようです。

ワタシが社外役員の仕事をしている信用金庫(資産規模で業界トップテンに入っている)では、役職員が一丸となって、組織的継続的なリレバンを徹底、コロナ禍では模範的ともいえる伴走支援で信用金庫らしさを貫いています。

業界屈指の地方銀行との競争のなかでも、ともに地域のためにしっかりと役割分担していると思っています。

悩み深いX信用金庫の経営陣には、ブレずに原点回帰という言葉を贈ります。信用金庫らしさを出せばノルマ漬けプロダクトアウトの地元地銀とは完全に差別化できると思います。

「理屈ではわかっているが、、、」という回答が予想されますが、やるしかないのです。

決断して行動するのが経営者です。