🎯経営コンサルタントの勘所

中小小規模企業向けの経営コンサルタントへのさまざまな評価が耳に入ってきます。

残念ながら、厳しい声の方が多数派です。

国の中小企業施策の枠組み等においてコンサルのペーパーが必要だから、という段階から、ギリギリまで追い詰められた事業者に本当に寄り添うコンサルが求められる局面に至り、コンサルタントの真価が問われています。

このことを踏まえ、失礼ながら、士業や金融機関あがりでは、ごく一部の例外はあるものの、限界があるのではとの辛口発信をしています↓

20日、21日と岡山にいましたが、その前日19日(土曜日)も大変有意義な時間を過ごしました。 実際に中小企業の現場、営業、管理から社...
お客さまの「事業支援、事業再生支援」と軽々しく言いますが、 地域金融機関の取引先にはさまざまな業種があり、同一業種であっても個社ごと...

このメッセージは、

ワタシ自身の“猛省”であり、自戒の念を込めたものでもあります。

ワタシは二十数年前から経営コンサルティングの仕事をしています。対象は中小企業ではなく、地域金融機関です。

ワタシのバックグラウンドは都市銀行と外資系銀行で、都市銀行での仕事は海外も含めほとんどが市場関係(債券とデリバティブズ)、地域金融・中小企業金融とは対極の世界にあります。

40代半ばで、「地域金融機関への経営コンサル」と大風呂敷を広げてみたものの、「有価証券運用やALM、教科書的なリスク管理」の知見(らしきもの)しか持っていなかったわけですから、その切り口から地域金融機関の経営層との接点を築き、それを太くする中で地域金融機関の全容に近づいていくという方法しかありませんでした。

そして、地域金融機関の全体像が分かったとばかり(大変な思い上がりですが)、地域金融に関する書籍を発刊するなどいっぱしのコンサルタントになったつもりになっていました。

まさに金融機関や士業の人たちが中小企業のコンサルタントになるプロセスと共通するものがあります。

自分のやっていた地域金融機関向けの経営コンサルが表面的で薄っぺらいものだと痛感させられたのは、地域金融機関の内部に入り、経営に参画し、責任を負う立場になってからです。

18年半前、ありがたいことに地方銀行の社外監査役として声をかけてもらい、3年間の社外監査役、さらに10年間にわたり社外取締役を務めました。そして15年半前には別の地方銀行の社外取締役に就任しました(本年6月に退任)。

同じ銀行でも、都市銀行と地方銀行とでは、別業種といえるぐらい経営における経済合理性と社会性のバランスが全く異なることを思い知らされました。

社会性の比重が高い分、地方銀行経営の方がはるかに難易度が高いと感じています。

取締役会や経営会議などで組織決定がどのようになされるか、それがどのように現場に伝えられていくか、現場が真の意味で顧客本位の動きをするにはどういうメッセージが大事なのか、どういう仕組みが必要なのか。その試行錯誤の過程に入ることで、外部コンサルの立場ではまったく見えないものがたくさんあることを思い知らされました。

取締役会の前後には必ず営業店を訪れて、現場の職員さんと車座集会をしたり、お客さまに集まっていただきお話をうかがったりを積み上げていきました。

社外の人間だからか、職員さんもお客さまもフランクにお話ししてくれたことで、銀行の経営と現場やお客さまとのギャップをヒシヒシと感じ、何がそうさせるのかということが少しは理解できるようになりました。

なんといっても組織を動かすヒトにかかっています。経営陣もヒト、本部のテクノクラートもヒト、現場で動くのもヒト。

これらがどのように機能しているかは、経営に踏み込んで時間軸を持って見ていかねばわからないものです。

昨今、人的資本が注目されていますが、バランスシートに計上されないヒトやお客さまとのリレーションシップが、価値のある大切な資産資本であることは、社外取締役の仕事をするなかで早い段階で気づくことができました。

ヒトのところは、外部コンサルにとって最も難しい心臓部です。ヒトが作り上げる「企業風土」の世界に切り込まねば、地域金融機関の経営コンサルとはいえません。

冒頭の話に戻りますが、中小企業の経営に実際に携わった経験、もしくは経営者に長年ピタリと寄り添い、数字だけではなく、その裏にある実態、経営者そのものの人となりを熟知しなければ、経営コンサル業務は容易ではないということです。

経営に直結するミッションを持った出向や、社外役員的な立場でもよいと思いますので、経営に責任を持つ経験が、中小企業向け経営コンサルタントのキモになると思います。

年寄りの長話にお付き合いいただきありがとうございました。

コメント

  1. 橋本卓典 より:

    どこぞの地銀の経営理念は広告代理店に任せてつくってもらっているとのこと。複数案から絞り込むのですが、違いは句読点笑。自分の足で立たない丸投げは他人事であり、当然付け入れられます。システム然り。

    まさかそういうコンサルとリベート前提で、役に立たない事業計画をつくらせて稼ぐ地銀があったなら。。。