「金利ダンピングしても融資ボリュームは増えない」
最近、そう漏らす地域金融機関の幹部が多いですね。
そりゃそうですよ、
事業者さまの本音は、
「たとえ金利が安くても、業況が厳しくなったら逃げるような金融機関は信用ならん。どんなときでも、安心して事業に専念できる状況を作ってくれる金融機関が一番。」
ゼロゼロフィーバーに関係なく、融資残高が続伸する金融機関Xは、このような事業者さまのおメガネにかなっています。
一方、融資ボリュームが頭打ちとなっている、低金利一本槍のプロダクトアウトオンリーの金融機関Pの現場は、金融機関Xの融資の増加を見せつけられ、癇に障った物言いで本部や役員に報告します。
「Xはレートカッターだ。忌々しい。我々の提示金利では歯が立たない。」
Xの貸出金利、決して低くありませんよ。
金利を言い訳にするのはオソマツな現場の常套句。
Pは平成の地域金融を引き摺ったままです。
この現場の声を鵜呑みする、Pの経営者インタビューなどを見ると、
「融資は(過当競争で)儲からない。お客さまの課題解決がこれからの収益源だ。」
規制緩和の後押しもあり、課題解決目的の子会社の設立ラッシュ。他業態との外部連携も続々と。
そしてPの本部からは、コンサルティングやソリューションで「フィーを稼げ」の進軍ラッパが鳴り響く。
しかし現場は茫然自失。定型商品の物売りしかやったことがないんですから。
経営陣からは、人がいないならコンサル人材の育成をなんとかしろ。
今さらそんなこと言われても、、、
大混乱です。
でも事業者の本音は、「信用できん金融機関に、誰が事業の課題について相談するか」
事業者さまの覚えめでたい金融機関Xには、証券アナリストやメディアなどから、「持株会社、なぜ作らないんですか?」と横並びを促す質問ラッシュだそうで、、、
余計なお世話です。
銀行本業の収益が堅調でも、昨今の地銀株フィーバーの上昇気流に乗り切れないのは、課題解決の箱物を作らないからなんでしょうか。株式市場もどこを見ているのやら、イヤハヤ。
箱物がなくても、お客さまの課題解決は可能です。
箱物を作る前に、Xのようにお客さまからの支持を得られる現場の再構築が最優先でしょう。
お客さまの課題解決の起点は、お客さまとの信頼関係ですが、金融機関Pの経営者は、お客さまとの信頼関係が劣化していることが分かっていない裸の王様です。
このままいけば、大量離職の波は止まらず、人的資本も壊滅的に。
ヒューマンアセットと(お客様との)リレーションシップキャピタルが崩壊したら地域金融機関はオシマイdeath。
まずは、現場の惨状を直視しなさい、裸の王様。