🎯ESG間接金融、2つの流派

脱炭素、ESG、SDGs、GX、、、

大手企業やそこのサプライチェーンにしっかりと組み込まれた中堅企業にとっては当たり前になっていることを、いかに中小小規模事業者の啓発を促して、これを地域全体に浸透させていくか、

全国三百数十万社に対する資金繰り支援を担う地域金融機関の役割が重要であることは言うまでもありません。

地域金融機関の施策を見ると、大きく2つのパターンに分類されます。

多数派は金融商品に組み込むというやり方。そこに環境対応などのコンサルを内包するなどのバリエーションがあります。

「ESG融資拡充 金利優遇で脱炭素後押し」、「サステナビリティローン、目標達成で金利引き下げ」

といった新聞の見出しを見ない日はありません。

地域金融機関の現場にとっては、取り組みやすさがメリットです。

デメリットはプロダクトアウトの物売り、件数稼ぎが目的になりかねないということ。

もう一つのアプローチは、事業支援の一助としてSDGs等を全面に押し出して、お客さまとの対話/情報共有を積み上げていくやり方。

こういう金融機関では、本部の担当部署が単に現場にキャンペーン的に指示を出すのではなく、

積極的に現場に出て、支店の人間も巻き込んで、中小小規模事業者に対する啓発活動を地道に行っています。

こういう話をすると、「そんなことやっていて、いくら儲かるんか」と、ワタシの大好きな営業統括部とやらの尻叩きおじさんたちから質問が飛んでくるのですが、

「こういう話をしてくれる金融機関は他にはない。これがきっかけになって事業の課題について、相談に乗ってもらえるようになった。」

とのお客さまの声にある通り、

「事業理解→信頼関係の構築→真の意味での相談が来るようになる→融資取引も太くなる」という展開になっているんですよ。

リレバンの王道ですね。

ご参考までに、3月7日のESG金融ハイレベルパネルで、ワタシが話した際の手元メモ↓を添付しておきます。

ESG金融の会合なのですが、環境省主催ということもあり、金融以外の視点(→大事です)の比重が高く、議論も拡散しがちとなるのはやむを得ませんが、

ワタシは、間接金融が主体となる中小小規模事業者さらには地域経済にESG/SDGsなどを広げていくために地域金融機関は何をすべきであるか、という点にしっかりフォーカスして意見を述べています。

本日は環境省が主催するESG金融ハイレベルパネルの第6回です。 環境省大臣や有識者の他、全銀協などの金融機関の業界団体のトップがメン...

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【ESG金融ハイレベルパネル、手元メモ】

今日のテーマはGX (グリーン・トランスフォーメーション)であるが、

~大手企業ではGXが定着

~中小企業でも大企業と同様のGX対応のところも出てきている。ある地域でヒアリングしたところ、

~アップル/テスラーなどに部品納入する中小企業は本社工場の新設にあたり、納入先から「GX仕様の要請」があった。また、国内大手メーカーへ工作機械を納入している中小企業は、各メーカーから「機械の CO2排出量」数値に注文をつけられている。

~この地域では、地元の信用金庫がしっかりとサポートしている

~ただ、こういう中小小規模企業はまだまだ少数派

~三百数十社といわれる中小規模企業に、いかにして「漏れなく」GXを浸透させるか・・・ここが一番大事

~彼らと取引のある金融機関による啓発・支援活動が重要(言うまでないが)

ところで、

~いまコロナ融資の返済が本格化する中、中小小規模企業はポストコロナに向けた事業変革が求められている

~事業変革にはGXが必須であることは言わずもがな

~これらの中小小規模企業と取引のある金融機関、さらにはコロナ関連融資で地域最大の与信を抱えるようになった信用保証協会、中小企業支援組織などによる『総力戦』が全国各地で展開されている。この総力戦の事業変革支援にGXの要素を組み入れるべきではないか、

~そうすれば、多くの中小小規模企業にGXは『一挙に広がる』

~金融機関のGX取り組みは「単発的」なものから「組織的継続的」なものに進化させることが必須

~中小小規模企業の事業変革を後押しする目的で「事業再構築補助金」があるが、冷凍餃子の生産やヨガ教室開設といった話をよく聞く。冷凍餃子やヨガ教室が悪いわけではないが、こういう補助金にはESG/GXを紐付けしてもいいのではないか

https://www.env.go.jp/page_00588.html

コメント

  1. 北門信用金庫企業支援室長 伊藤貢作 より:

    誠に残念ですが、金融機関が提供する「本業支援商品」など二流の粗悪品の塊です。融資をするという条件に様々に余計な条件をつけたり、下らないものをセット販売しているにすぎません。

    売れてる商品に不良在庫を付けてセット販売する昭和のやり方

    行員さん、信金の職員さん、実家が中小企業をやっていたとして、皆さんの本業支援商品をご両親やご兄弟に勧めるでしょうか?

    その心の中の答えが、すべてを表していると私は思います。私は若い時から企業再生や経営の現場に身を置いてます。

    向こう側の景色からみて、金融機関が扱う本業支援商品やビジネスマッチングに欲しいものなどありません。

    単に銀行や信金が預貸では儲からないから、なりふり構わず、無用なものを押し込んでるようにしか、世間一般からは映らないでしょうね。