菅政権1年間の地域金融施策に関する評価を複数のメディアのひとたちから聞かれました。
旅芸人ブログで再三発信している通り、「数が多いから」地域金融機関は合併すべしという意見には一貫して反対の立場です。
果たして、金融機関の数が減って、再編で金融機関の規模が大きくなることが、地域顧客や地域経済/地域社会のためになるのでしょうか。
そのような簡単な話ではありません。
とはいえ、菅首相が就任にあたり地銀再編について触れたことで、地域金融機関のミッションに焦点があたったことは意味があったと思います。
コロナ禍が長期化する中で、中小小規模事業者の倒産や廃業の増加が懸念される中、地域金融機関による金融面のみならず事業変革そのものへの支援が強く求められています。ここに背を向けたら地域金融機関の存在価値はありません。
事業者支援にあたっては金融機関自体の強い財務基盤、すなわち資本の厚みが必須であり、資本に懸念のあるようならば、何らかの方法で資本の充実を図るべきです。
再編、すなわち資本統合ですが、資本に余裕のある金融機関を交えた再編は、資本が十分でない金融機関にとって資本充実のひとつの手段であることは間違いがありません。
資本に懸念のある金融機関にとっての資本充実策を列挙してみます。
(1)再編(資本に余裕のある金融機関への資本統合) 、
(2)地元での第三者割当増資、
(3)地元以外からの第三者割当増資、
(4)公的資金による資本導入、
この一年で再編へ進んだ3つの事例は、いずれも既に公的資金による資本導入を行なっている地域銀行がからんでいます。
当事者たちが「資本に問題があっての再編ではない」的な発信をしているので、ワタシが勝手に決めつけるわけにはいきませんが、(1)のカテゴリーに含まれるものと考えられます。
(2)は7月に発表された南日本銀行(本店鹿児島市)の第三者割当増資、(3)としてはSBIによるじもとホールディングスへの出資があげられます。
(1)~(4)のうち、最も副作用が大きいのは「(1)再編」です。
菅首相は一番インパクトの大きい再編を例に出して、コロナ禍で地域金融機関が本来の役割を果たす上での資本充実を強く求めたのでしょう。(「数が多いので」という枕詞は、、、ですが)
さて、
(1)~(4)のどの方法であっても、資本充実のために何らかのアクションを起こしたところは良いのですが、問題はダンマリを決め込んでいる地域金融機関です。
ダンマリ系の多くは比較的規模が小さく、従来から十分な資本蓄積がないため地元企業の経営改善/事業再生の支援を行うだけの余力がなく、であるにも関わらず金融機能強化法による資本導入を行っていない地域銀行です。
ダンマリ系の経営理念を見るといずれも地域貢献を掲げており、コロナ禍での地元企業支援の姿勢を強く打ち出しています。
資本が充分でない状況下で、どうやってやるのでしょうか、
さあ、どうする。
コメント
地域金融に空白地帯を残さない、不毛な競争領域の解消につながるもの、であって欲しいと思います。