見るのは役所ではなくお客様と協業者

新聞報道を見ていると、いよいよ商工中金の問題が大詰めの段階に入ってきたように思えます。

平成18年に商工中金ほか政府系金融機関の民営化に関わる内閣府の審議会に出席し、あるべき姿を検討した身としては、今回の商工中金の危機対応資金をめぐる不正行為は残念としか言いようがありません。

「中小企業を元気にしたい」と商工中金に職を選んだ多くの優秀な若者たちが絶望のあまり転職しているとの話を聞き、えも言えぬ腹立たしさを感じています。

国民の税金を使って(危機対応資金の悪用)、地元の優良顧客を横取りするような活動を続けた結果、民間金融機関の商工中金への不信感は想像を絶するものとなっています。

ビジネスモデル、ガバナンスなど抜本的な見直しが求められると思いますが、忘れてもらっては困るのは、商工中金の役割はあくまでも民間金融機関(とくに地域のトップ地銀)の業務を補完するものであることです。

民間金融機関の多くがその経営理念から逸脱し、自己中心になり、顧客本位の業務運営が怪しくなっている現状、補完する立場の金融機関の出番は少なくありません。

ただ、補完機能である以上、ビジネスモデルにしてもガバナンス態勢にしても、民間金融機関が納得するものでなければならないのです。それらを民間金融機関に対して明確に示した上で、まずは信頼関係の構築から始めることです。

報道等によれば、主管する省庁などへの忖度が不正行為を招いたとのようですが、再出発にあたっては関係省庁に気を遣う前に、お客さまや協業すべき民間金融機関からの信頼回復に全力を上げるべきです。


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