新年を迎え、今月開催される予定の第7回 商工中金あり方検討会議に向けての準備をしています。
メディア報道にもある通り、「完全民営化(3〜5年後)までの限られた期間に、商工中金はミドルリス層への取り組みと事業再生に全力投球すべき」という流れで議論が進んでいます。
キーワードとなる「ミドルリスク層と事業再生」は11月17日の第1回検討会議で登場します。
長文となりますが、議事録(未定稿)から抜粋します。
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(前略)
民業補完については、今回の先週出た金融行政方針にも明快に書かれていますし、その前段となった金融レポート、これは10月に出ておるのですが、3万社の企業アンケートがありましたね。
あの中にも政府系のことが出ていたのです。具体的に言うと政府系金融機関との取引を選択した理由を企業の人に聞いているのです。3万社のアンケートで回答が8,900と聞いておりますが、「民間金融機関も支援してくれたが、政府系金融機関のほうが借り入れ条件がよかったから」がトップで59%、第5位に「民間金融機関では支援してくれなかったから」というのがあり7%です。
普通に考えれば、恐らく第5位がトップに来て100%というのが答えであろうと思ったのですが。これが実態なのですね。民間では支援してくれなかったからというのが7%しかいないということは、実は金融排除があるということなのです。わずか7%しかいないということは、ほかにももっと政府系金融機関を必要としているお客さんがいたと捉えられるわけです。
そういう意味では、金融排除は明らかに存在するし、民業補完はその金融排除の部分をカバーすることになります。
私なりに、民業補完が必要なところは実は3つあると思っています。まず、業況の厳しい中小企業への融資、俗に言うミドルリスク層というものです。ここに対してしっかりお金が出ているかどうか。最近ここは弱いのではないかと思います。
2番目は、これも先ほどから出ていましたが、地域企業の再生業務、いわゆる事業再生、これも必要です。
3番目は、小口のためにコスト効率が悪い小規模企業や創業企業。これは日本政策金融公庫の国民生活事業がカバーしている部分でして、実は民間から民業圧迫の声がほとんど聞こえてきません。公的金融の民業補完ができているわけです。
この3番目のポイントはちょっと置いておくと、やはりミドルリスク層への対応と企業の事業再生、この2つのところが補完の議論のポイントになるのではないかと思うのです。
これらの分野についての民間の取り組みは明らかに二極化しています。しっかりやっている金融機関と全くダメな金融機関。これはどこを見ればわかるかというと、たとえば温泉地を見ればわかるのです。
(後略)
(抜粋、多胡の発言箇所)
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改めて読み返したのですが、「ミドルリスク層の取り組みと事業再生で民業補完をやる」という説明は分かりにくいかもしれません。
「日本型金融排除が起こっているゾーンにしっかり取り組んでもらう」
とストレートに表現した方が伝わりやすかったですね。
新生商工中金には、日本型金融排除の撲滅に向けた尖兵の役割が求められていることは間違いありません。