「金融庁は宗旨替えしたんじゃないですよね‼️」
「・・・・・」
昨日、本日は年度始めの支店長会議がいくつかの地域銀行であるようです。複数の銀行から確認の電話がかかってきました。
どうやら11日に発表された「地域金融の課題と競争のあり方」の報告書 (金融仲介の改善に向けての検討会議) の中で、銀行が一行しか残らない地域に地元が認定されており、「金融庁は競合金融機関と合併することを奨励しているのではないか。そういうことならば本部から支店長への示達の内容を見直さねばならないが」という展開になったようです。
「これは第二の森ペーパーではないか。」という厳しいご指摘もありました。
ワタシは次のように答えました。
「これはトランザクションバンキング (もうからないし、AIフィンテックに代替される) だけしかない世界での分析であり、一つの見方に過ぎないと思います。一方、人間のやる地域金融、リレバンの世界は道半ばですね。地域金融機関はここに磨きをかけるしかないわけで、支店長会議の原案通りで良いんじゃないですか。」
報告書の18ページには次のような記載があります。
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比較的規模が小さい、業績が必ずしも良好ではない、又は担保となる資産を有していない企業においては、経営統合後に金融機関からの借入れがより困難とならないようにすることが必要である。
しかし、現在の地域銀行の一般的な貸出姿勢を調査すると、担保・保証への依存度合いが高く、企業の事業性評価が出来ていないところが多い。従って、こうした企業においては、経営統合以前の時点で、借入先の選択可能性が限定されている。すなわち、この点については 寡占・独占の弊害と言うより、むしろ担保・保証の有無にかかわらず事業性を見た融資が普及していないことに問題の本質がある。
勿論、上記のような企業に対しては、銀行以外にも地域に根ざした協同組織金融機関等が、リスク管理といった各行共通の業務やシステムの集約化等による業務の効率化を図りつつ、きめ細やかな融資や本業支援の取組みを強化していくことも重要である。
このため金融庁がこれまで行っている、「事業性評価」に基づく融資や本業支援の促進、 「企業ヒアリング・アンケート調査」の実施、「金融仲介機能のベンチマーク」(2016 年9月策定・公表)等の客観的な指標を活用した自己評価や開示の促進などの取組みを、更に促進すべきである。
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リレバンが定着すれば、報告書にあるようなトランザクションバンキングを前提とした分析とはまったく異なる世界が開けてくることは間違いないと思うのですが。
コメント
多胡先生の仰る通りです。昨日某出版社の金融セミナーで12日の日経新聞の記事を取り上げて、全く同じお話を致しました。
対立軸を演出した方が記事を書き易いと言うことか?、記者の咀嚼が足りないのか?こういった記事が金融を歪めてしまう。踊らされないにしてほしいと思います。
参加された企画担当者のうち何人かは、報告書を打ち出しお持ちになっていました。参加する道中の時間を使って、しっかり読み込んでいらっしゃたようです。
彼らのように、オリジナルを読み込んで、しっかり経営をサポートする企画担当者が増えてほしいものです。また経営者も忙しさを理由にせず、こういったものは地域金融の本質に関わるものだけに、自らの目と頭で読み込んで欲しいものです。
追伸です。
19日の日経金融シンポジウムの参加入場券が今届きました。当日参加させていただきます。