本年4月の日経ビジネスのインタビュー記事で全国銀行協会の会長が以下のような発言をしています。
「いま、日本企業の6割は実質無借金経営です。ですから企業は(銀行からお金を借りるより)預けたお金をどう運用するかに目線が移りつつある。」
6割が実質無借金経営者というのは間違いのないファクトです。
ただ、だから「運用に目線が移る」というのは大企業の話です。
発言者がメガバンクの人なので、こういうコメントも分からないわけではないのですが、中小小規模企業の場合には事情がまったく違うと思います。
実質無借金が多い理由は「お金を借りる必要がない」からではなく、「金融機関から借りたくない」からです。
かつての金融機関との取引での理不尽な体験による「金融機関不信」がもたらした無借金経営なのです。
ワタシの身の回りの話を聞いてみると、こういう無借金会社は、わずかな手元流動性でしのいだり、仲間内でやりくりしたり (企業間信用) 、経営者一族の個人信用で借金などでまかなったりしているようです。
金融機関借入によって事業拡大のチャンスは十分あると思うのですが、金融機関への不信感から、あえて現状維持が精一杯の経営に甘んじているのではないでしょう。
無借金会社だから金融機関の足が遠のく。悪循環です。
これも金融排除の一つの側面であることは間違いありません。
コメント
株式会社はレバレッジを利用することで企業価値と株主価値を高められるのに借金できる会社が、借金を選択しないのは理由があるからということですね。上場会社であればペッキングオーダーの選択なのでしょうが、中小企業の場合はご指摘の要因が強いのですね。図書館で橋本卓典さんの新書を借りてきたので楽しみです。