地域銀行の統合合併は、顧客本位の持続可能なビジネスモデルを遂行する上での一つの選択肢です。
10月2日のブログにも書いたのですが、
「店舗の統廃合などのリストラで捻出された余力を顧客のために活用する」
という統合合併の“常套句”は、実現までの時間軸が必要です。さらに透明性がないことも問題だと思っています。
時間軸と不透明性を楯に、顧客還元は微々たるレベルにとどまり、ほとんどは金融機関の収益の穴埋めに使われるのではないかと勘ぐってしまいます。
その一方で、統合合併は資本統合ですから、
「資本統合で捻出された資本余力を地域企業、地域経済社会のために投入」
という顧客本位の施策があるはずです。
こちらは、透明度が高く、即効性がありますね。
残念ながら、後者を明快に語る地域銀行の経営者には滅多にお目にかかることはありません。
唯一ともいえる例外は、めぶきFGの松下正直副社長 (足利銀行 頭取) の下記の発言です。
「マイナス金利政策の前から低金利は続いていて、少子高齢化や人口減という現実もあった。地域金融機関の大命題は地域経済の発展に貢献することだが、そのためにはまず生き残らなければいけなかった。潤沢な自己資本がなければ、企業を再生するときに債権放棄や条件変更もできない」(10月1日、 日経電子版)
不良債権問題、公的資金の導入、ファンドによる経営という厳しい体験を重ねた銀行の経営者ならではの言葉と感じます。
これこそは「大義」のある資本統合です。
コメント
私がかかわっている信用金庫(資金量1兆円超)ですが、「当金庫には余力がある。必要と思う債務免除を恐れるな」との理事長の方針が徹底しています。サポート部も支店長も生き生きしてます。
この金庫では3年前、理事長と専務理事の要請で支店長以上から「地域金融の現状認識と意識改革および基本を取り戻す」ことをテーマに研修をスタートさせました。必ず取り上げるテーマは短期継続融資です。
昨年下期から支店長代理クラスにも研修を下しています。上層部の意識があるべき姿に変わっているので浸透は早いと思います。いや軸の確認のお手伝いをするというスタンスの研修でいいように想います。
資本余力のある地域金融機関が本気でその余力を地域のために使おうとしています。
楽しみです。
八代さんの基調貢献の後を受けて2日ほど昨日まで鎌ケ谷に泊まり込み研修をしてました。その場に当該金庫から3名支店長がお見えになっておりましたが、この金庫の取り組みと支店長の質の高さに他金庫の方々が驚いていらっしゃいました。
八代さんの基調講演から私の実務的な研修の流れは一巻した流れの中にあり、いい内容だったはずだと自負しています(笑)。
基調貢献⇒基調講演
失礼しました。
寺岡さま、
立派な理事長さんですね。
どうやらワタシの親しくしている方のように思います。間違っていたらごめんなさい。
近隣の信用金庫の理事長たちが、口だけのなんちゃってリレバン、実態はプロダクトアウトのボリューム志向で、地域銀行の悪いとこだけを模倣するドアホ経営者であることと対照的です。
理事長が立派だと部下も育ちますね。
おそらく多胡先生の思い描いていらっしゃるところで間違いないと思います。
専務理事も優れています。「過去、数字を達成することで出世してきた。その分金庫に迷惑をかけた。しかし、今となって何が正しいか、何をやってはいけないか、何をすべきがよくわかる」と謙虚に足元を見つめていらっしゃいます。
楽しみな金融機関です。