地域金融機関のリスク・アペタイト・フレームワーク (RAF) においては、“統合リスク管理”での資本配布以前に 、地域金融機関ならではの“経営計画“ (← 顧客本位で顧客との共通価値の創造=CSVであること) がしっかりと練り上げられてなければなりません。
この”経営計画“の中身をチェックすることが、金融庁が重視する「金融仲介機能の十分な発揮に向けた制度・環境整備のモニタリング」のベース部分にあたると思います。
”経営計画“ の策定内容とその実践状況のモニタリング行うには、当該金融機関との対話の中から、数字に見えるデータのみならず、見えないファクトを発掘する高度なスキルが要求されます。
それができる人材が金融庁内部にどれだけいるのでしょうか。
昨事務年度に行われた「ビジネスモデル検査」が、庁内でどのように総括されたかは定かではありませんが、ワタシは検査するサイドの力量不足だったと思っています。
金融行政サイドは、データ分析のみならず見えない重要なファクトを、対話力で発掘できる人材の質量両面での強化が不可欠です。
当該金融機関に加えて、地域企業や中小企業支援団体などに対話の範囲を広げていくことは非常に意味があるものと考えます。地域生産性向上支援チームへの期待は大きいものと考えます。
この流れの中、昨日、金融庁で財務局長会議が行われました。
〜31日の財務局長会議では、従来までと異なり財務省の幹部も参加。地域経済の活性化に向けた連携を確認した。地域の事情や融資先のニーズをきめ細かく把握して、地域金融の再生につなげる取り組みを議論した。(中略) 目玉になるのが、遠藤俊英長官の主導で今夏に立ち上げた「地域生産性向上支援チーム」だ。(中略) 31日の金融庁開催の会議には財務省幹部も加わり、財務局を軸にした「地域経済エコシステム」の取り組みなどを説明した。(本日、日本経済新聞朝刊)
各地の財務局サイドの意識改革は非常に重要と感じます。
注視していきたいと思います。
コメント
地域経済エコシステムという言葉使いには抵抗があります。地域経済を支える役割分担のような意味なのでしょうが、こと行政で使われると、地域金融機関単位での役割分担のようにとられかねず、これだけマスコミが合併再編をはやす中、当然エコシステムという言葉からは存続可能性のないところが存続可能性のあるところの軍門に降ることを連想させるのではないでしょうか。
現実的に金融排除が起こっている中では、存続可能性のあるところから排除を受けた経験のある取引先のうち、存続可能性のないところしか取引の選択がないような状況にあれば、相当不快な思いをしないか心配です。どこぞの地域のように近い将来に取引金融機関が存続可能性の高いところの軍門に降り、地域経済の外の金融機関への債権譲渡等を交渉されるのではないかと。行政がそれをお望みなのかもしれませんが・・・。
存続可能性のない地域金融機関自身は現実を割り切って努力しているかもしれず、あまり抵抗はないかもしれませんが、その先にある取引先への影響が懸念されます。