2019年の予想 (その1)

先月、英エコノミスト誌に

「現代の米国の若者層の半数以上が資本主義に嫌悪感を抱いているとの統計がある」

との記載がありました。

金融危機以降、米国社会において富の偏在や所得格差拡大が加速したことに原因があると容易に想像できます。

30数年前にロンドン シティで仕事をしていて 、米国的な考え方が欧州金融市場や欧州企業の経営の世界で急速に浸透していくことを実感しました。英国や欧州大陸の金融機関経営の手法が、どんどん米国流に席巻されていくのに遭遇 (ワタシ自身、そういう金融機関で実際に働いていました) したのです。

その後、日本の大企業や金融機関なども“右へならえ”となったのですが、ここに至り、大きな転換点に来ているように感じます。

本ブログ12月4日「リレーションシップ インパクト番外編」でも書いたのですが、コーポレート・ガバナンスへの注目度が高まっている中で、株主一辺倒から、従業員の視点を取り入れたイギリスのコーポレート・ガバナンス・コード改定の意味するところは大きいものと考えます。

地域金融機関の経営者の中には、株主はおろか、金融庁の動向しか見ていない人たちが少なくないのですが、これからは地域顧客 (株主でもある) や従業員への目配りを怠れば、退陣に追い込まれることになります。

こういう経営者には、金融庁 (顧客本位の業務運営、それを支える従業員重視の考え方です) が後ろ盾となってくれることはないでしょう。

2019年はそういう事例が出てくる予感がします。

期待も込めて‼️

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コメント

  1. 増田寿幸 より:

    米国流の資本主義は明らかに曲がり角にあるように田舎者にも見えます。トランプのような下品な人が大統領に就任しているのはその証拠だと思います。多胡さんが強調されているような複数のステークホルダーへの目配りという考え方は欧州にはまだ残存しておるのかもしれません。とくに北欧学派(NordicSchool)のC・グレンルースなどが唱えるリレーションシップ・マーケテイングは顧客や社員との長期の安定的な関係性(リレーションシップ)を重視するという点で日本が今後参考にするべき学説のひとつなのかもしれないと思うのです。ただ、業界人としては、多胡さんの来年への予言がはずれることを切に願います。

  2. 寺岡雅顕 より:

     退陣ではなく、経営思想と手法を自ら改め、新時代の経営に邁進してもらいたいものです。

     手荒のことは、避けられるなら避けた方がいい、に決まってます。

  3. 多胡秀人 より:

    増田さま、寺岡さま、

    ワタシの期待が大ハズレになるよう、地域金融機関の経営陣にはハチマキを締め直して、真剣に経営をお願いしたいものです。

  4. 新田信行 より:

    昨日、私も発起人の一人として、JPBVが発足いたしました。

    リレバンアドバンスの啓蒙活動も開始いたしました。

    地域金融が良い方向に向かうよう、微力ですが、全力を尽くします。