取締役会に欠けているもの

小宮一慶さんのダイヤモンド オンライン「社外取締役を『お飾り』にしない上手な生かし方」(1月12日) を読みました。

中小企業にとっての社外取締役という観点からの論考ですが、地域金融機関にも十分に当てはまるものと思いました。

ワタシが長年、社外取締役を務めている地域金融機関では、中期経営計画の構築に際し、3〜4回にわたり取締役会において入念に議論を重ねたことがあるのですが、この話をすると同業界の方たちからびっくりされます。

「そこまでやるんですか」

どうやら執行が作ってきた中期経営計画を承認するというのが、地域銀行における取締役会の常識らしいのですが、ワタシにはそちらの方がまったく理解できません。

昨今、地域金融機関のコーポレートガバナンスは整備されてきたように感じますが、まだまだ形式を整えるところで止まっている組織がほとんどのように感じます。

また、取締役会における決議事項、報告事項の中身も絞り込まれて、それなりにメリハリをつけてきてはいますが、まだまだ本丸の議論に踏み込めているとは思えません。

本丸というのは、フォワードルッキングな経営視点、将来のあるべき姿の議論です。その上で、顧客本位を大前提に、どのようにリスクテイクを行うか (リスクアペタイトフレームワークの議論ですね) を真剣に行う必要があると思います。これこそが取締役会でのメインテーマであるべきではないでしょうか。

〜今後予想される世の中の動きに対して、自社をどう変革していくかといった大きな議論を社外の人を交えて行うのです。取締役会を含め、会議の場というのは、幹部を鍛える場でもあるとの認識も必要です。伝統のある古い会社は、自社で採用した人が役員に昇格するケースが多く、会社の常識にとらわれてしまいがちです。しかし「会社の常識は社会の非常識、業界の常識は社会の非常識」です。そこで社外取締役を招いて、社会の常識を踏まえた議論を深め、取締役会を活性化させることを目指す。それが社外取締役の理想的なあり方です。〜(同記事)

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コメント

  1. 新田信行 より:

    決議の以前の、起案の段階の議論が重要だと思います。当組は、約30名の評議員が、実質的に経営諮問委員として機能する方向を模索しています。経営者に様々な示唆を与え、経営者を成長させてくれる社外の有識者の存在は不可欠だと感じています。

  2. 多胡秀人 より:

    新田さま、

    さすがです。

    経営諮問委員会、素晴らしいですね。