ヒューマンアセットの資産査定

資産査定の復活。

といっても貸出債権の資産査定のことを言っているのではありません。

地域金融機関の無形資産であるヒューマンアセットの状況を、金融庁のオン・オフのモニタリングで確認してほしいのです。

有形資産である貸出債権も有価証券などのアセットも、それを運用するヒト (ヒューマンアセット) 次第であることはいうまでもありません。

某地域銀行では経営へのダメ出しで早期退職者が続出して、本部や営業店の組織運営がおぼつかなくなっているとの情報もあります。前代未聞の由々しき問題であり、これこそ経営責任を明らかにすべきです。

貸出や有価証券運用で失敗をしようものなら、厳しく責任を問われるのですが、ヒューマンアセットの崩壊での責任問題が俎上に乗ったことすらありません。まったくもって理解に苦しみます。

そもそも、早期退職や心の病により休職になっている実態すら明らかにされていません。

まずはヒューマンアセット崩壊の「可視化」は必須です。

そして崩壊の原因 (組織運営に起因するものと思われる) を究明しなければなりません、当たり前のことです。

それによって責任の所在を明らかにし、貸出や有価証券での損失の際と同様の手続きで、責任をとらせるべきでしょう。社外取締役はこういうところに目配りしなければなりません。

内部の自浄作用が機能しないのならば、ヒューマンアセットの問題を金融行政のモニタリングの中に組み入れられないものか?

ワタシは金融仲介に関わる検討会議のメンバーなのですが、地域金融機関の企業風土のモニタリングという観点からも、金融検査等でヒューマンアセットに注目するようしっかりと提言したいと思います。

もはや、黙っていられる状況ではありません。


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コメント

  1. 増田寿幸 より:

    そうですね。従業員のNPSを測るのは簡単ですから検査時にやれば経営者の話との整合性がチェックできて検査内容の充実につながりそうですね。

  2. 山猿 より:

    『道程半ばで辞めるのは本当に申し訳ない』と、部外者の私に頭を下げて銀行を辞めていった男を知っています。私はその男の志を知っているが故に、やり切れない思いでした。

    ヒューマンアセットを第一に大切にする組織が創れるのなら是非お願い致します。切に願っております。

  3. 多胡秀人 より:

    事務局にお願いして金融仲介の検討会議で俎上にあげていきたいと思っています。

    バカ経営陣のためにヒューマンアセットが壊れることへの歯止め装置は早急に整備しなければ、大変なことになります。

  4. 新田信行 より:

    皆さんのおっしゃる通りだと思います。

    一方で、株主や預金者、融資先等ステークホルダーは気づいているのでしょうか?きっと透明なガバナンスも出来ていないのでしょうね。

    金融検査にしか頼れないとしたら、日本の民の力も問われているのでしょう。民間の金融業界にいる一人としては、業界のあり方も含めて、何ともやるせない気持ちです。

  5. 路地裏の詩人 より:

    ヒューマンアセットの積み上げはままならず、崩壊に向かっている現状に憂いを感じます。

    リーマンの後地域金融機関には多くの学生が訪ねてきました。団塊世代の離脱を考慮しても余りある人数を確保いていました。しかし、旧態依然とした人事教育体制そのままで人数を人財に変換することを疎かにしていたと思います。説明会や会社訪問の学生は激減したのを少子化の影と責任転嫁をしているように見えます。職員や地域経済との向き合いが出来ていないことを見透かされて、人が離れているのではないですしょうか。職員数が減少したことを、効率化の結果だと弁解することもあるようです。人事教育研修や考課評価体制を環境変化に向けた洞察を怠った経営の「人罪」ではないでしょうか。

    何度となく金融庁検査に対応してきましたが、営業店業績評価の議論はありましたが、人事評価、特に育成の議論は殆ど記憶にありません。他律的に考え出すのもどうかと思いますが、そうでもしなければ動かない現実が大問題です。