今朝の情報番組で、飲食店のアルバイト (深夜は正社員が不在) による不適切動画と、L社の建築基準法の規定を満たしていない施工不良問題を見ていて、
“コスト削減で信用を失うこと”
の恐ろしさを再認識しました。
価格の安いことに価値を求める人がいなくなることはありませんが、「高くても施工主のしっかりした物件に入ろう」、「高くても信用できる業者の取り扱う物件に出資しよう」、「高くても正社員の目が届いているであろう飲食店に行こう」と思った視聴者は多いのではないでしょうか。
信用とコストは表裏一体です。(当たり前のことを偉そうに言うつもりはありませんが)
地域金融機関が進むべきリレバンというのは、“適正なコスト”を前提とした労働集約型のビジネス思想であり、“信用”のバロメーターは業況が悪くなっても逃げないこと (債権回収に入るのではなく、伴走支援を行う) だと思います。ただし、事業者の方も誠実な経営であることが前提です。
“信用”がなければ、顧客は金融機関に対して重要な経営課題を打ち明けてくれません。いくら課題解決を旗印に掲げて、ソリューションメニューの品揃えの充実をアピールしても意味がありません。
実態はソリューション商品のプロダクトアウトという、トランザクションバンキングをやっているだけのことで、たとえ優越的地位の濫用で実績を上げたとしても、顧客とのリレーションはさらに崩壊していくことになります。
挙げ句の果てに「リレバンなんて、現場を知らない人のきれいごと (そう嘯く人はあとを絶ちません) 」と言われても、何をかいわんやです。
顧客との信頼関係を作れない人に「現場を知らない」と言われてもねぇ、、、
コメント
『リレバンなんて現場をしらない人のきれいごと』と嘯く人の“現場”と、顧客と信頼関係を築こうとしている人たちの“現場”は、現場違いなんですね。前者の人たちは“現場”で感動も感謝も涙も笑いも経験した事ないのでしょう。
そんな幸福を感じた事の無い人が上に上がっていってもねぇ・・・というところでしょうか。
不適切動画を見ていて、まったく同じ感想を持ちました。何かの問題が生じた場合、組織は、個人の属人的特性やDNAに原因を結論づけたくなりますが、むしろ組織・構造全体に問題があるのです。「計測できる問題」と同等以上に「計測できない世界」の問題に目を凝らさなくてはなりません。なぜ、このような問題が生じたのか、です。
ある意味では、現場のコストを本部につけ回さないフランチャイズシステムの脆弱性が露呈した訳です。あのような動画を撮影していることを普通は許さない現場監督(当然、コストがかかります)は不在です。
削減した人件費は計測できます。では、あの動画によってもたらされた破壊的な損失はどう計測するのか。見た目の数字以上の破壊力があるはずです。
決定的に欠落しているのは、あの動画に登場する人物たちと組織の「共感」です。お互いを「思いやる気持ち」は皆無で、人間性はそこに介在していません。人を機械とみなす組織の論理は、因果応報のツケをどこかでもたらします。
弊金庫においても、「業績が上がっていないのに、リレバンや課題解決をやっている場合ではない」という声は、現場や経営陣からでさえも聞こえてきます。
「本当の意味でリレバンや課題解決を通じて顧客にとことん向き合っていないから、業績が上がっていない=信頼関係ができていない」のではないかと思うのですが、もう何年も、未だに月末の残高のために現場の尻を叩き続け、お願いセールスしている状況です。
想いをもって入庫してきた若手も現状に嫌気がさして退職が増え、そのために人出不足だと慌てている始末です。
どうすれば変わるのか、日々悩むとともに、諦めの気持ちが出てきてしまいます。。。