競争はレイジーバンク撲滅のため不可欠


2月~3月になると全国各地の財務局主催で地域金融のシンポジウムが開催されます。

今年も各地のシンポジウムを聴講した人たちからの感想がワタシのもとにも届いています。

一番インパクトのあったのは、

「これからは金融機関が中小企業を選ぶのではなく、中小企業の方が金融リテラシーを上げて、金融機関を選択すべし」

とのキーノート・スピーカーの率直な提言に対し、中小企業経営者のパネリストたちがシャープに反応したという話です。

会場がどよめいたようです。

このことは大きな進歩です。

経営環境の悪化から、顧客本位どころか自己中心の上から目線ぶりに拍車がかかるレイジーな地域金融機関は、金融行政サイドのメッセージにもどこ吹く風。レイジーバンクは、形式を整えて表面を取り繕ってスルリと逃げる技に長けた名人です。

また、レイジーバンクは、株式市場からのプレッシャーも「配当さえ増やせば文句は出ない」とタカをくくっているところがあります。

結局のところ、監督官庁も株式市場も“屁のカッパ”のレイジーバンクにとって一番恐ろしいのは

「地元顧客の離反」

であることは間違いありません。

「地元顧客が金融リテラシーを上げて金融機関を選別すること」は、間違いなくレイジーバンク撲滅の有効打となります。

そのためには、顧客が金融機関を選べるような

“競争環境”

が必須です。

金融仲介の検討会議が昨年4月11日に発表した「地域金融の課題と競争のあり方」(例の日本地図で有名になりましたが、苦笑) には、次のような記述があります。

~ 同一地域内の金融機関同士の経営統合は、重複店舗の整理統合などの面で統合の利益等をより一層発揮しやすい。他方、同一地域内の経営統合により、利用者にとっての選択肢が失われ、金融機関の市場支配力が高まり、金融機関が独占利潤を得たり、サービスの質を悪化させるという寡占・独占の弊害を生じさせることがないようにしなければならない。

(中略)

比較的規模が小さい、業績が必ずしも良好ではない、又は担保となる資産を有していない企業においては、経営統合後に金融機関からの借入れがより困難とならないようにすることが必要である。

(同報告書18ページ)

レイジーバンカーへの牽制のためにも、競争環境を安易に崩すような再編を断じて容認してはなりません。


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