トップによる真剣勝負の対話

危機的状況です。

ヒューマンアセットが崩壊した地域金融機関をいかに立て直すか。

それしか今のワタシの頭にありません。

当事者たる地域金融機関の多くの経営者は、このことが組織の存亡に関わる事象 (不良債権の大量発生や有価証券運用での大損に匹敵するもの) との認識がまったくなく、そのノーテンキぶりに強い憤りを覚えます。

5月7日のブログ「近頃の若いものは、、、」でも書きましたが、

「手始めに襟を正すこと。そして経営理念に合致した顧客本位の業務運営に向けて、ビジネスモデルやそのためのインフラ (業績評価、人事制度、ワークライフバランスなど) の根本的な見直しを行うこと。」

もはや小手先の微調整でなんとかなるレベルではなく、“新しい枠組み”の構築に向けて“抜本的な外科手術”が必要です。

ただ、

“新しい枠組み”の構築ができても、まだまだ5合目。そこから組織的継続的な活動の定着に向けて、胸突き八丁の行程に入ります。

この行程のまず第一歩は「経営トップと現場との深度ある対話」と考えます。役員で分担したり支店長に任せるのではなく、トップ自らが行うことがポイントです。

例をあげてみます。

ある地域金融機関ではノルマ撤廃によるリレバンモデルに舵を切った際に、トップは全職員 (千人単位) を相手に10数回にわたる意見交換会を行い、現場職員との質疑応答を繰り返したと言います。

またプロダクトアウトの物売りから、ノルマ廃止による顧客本位のビジネスモデルへの大転換を進めるにあたり、トップが営業店を精力的に回り、現場職員との車座集会を続けている金融機関 (千人単位の組織) もあります。

かつては、トップの現場訪問というと、単なる顔見せ巡回や事前にシナリオが作られたやらせの意見交換会といった欺瞞的で形式的なものが多かったことは否めませんが、この二つの事例はトップと現場のガチンコ対話です。

当然ながら対話に参加した職員たちの評判はすこぶるよく、現場の意気が高揚しているとの話が聞こえてきます。

トップによる全職員との「真剣勝負の対話」は、ヒューマンアセット再構築の必須条件です。

この一連の行動ができないトップはさっさとお引き取りいただきたい。不良債権を放置しているのと何ら変わりはないのだから。

 

 

 

 


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コメント

  1. 増田寿幸 より:

    私は理事長に就任直後の11年前に、ある支店を訪問し、そこでその支店の職員全員から地域の歴史などを聞く機会を得ました。そしてその2時間ほどのなんとも「ふんわりと充実した親しみに溢れた感覚」に驚きました。それでそれを他でも再現したいと考えました。①リラックスするために弁当やお菓子やコーヒを飲み食いしながら話す、②参加者全員が車座になり順番に全員が話す、③話すテーマはそれぞれが「おもしろい」と思うことで業務に関係しなくてよい、④聞く当方はコメントはするがこちらからは話はしない、⑤当日の様子を翌日に理事長ブログで全職員に写真つきで公開する、としました。これが社内で好評でいつしか「ワイガヤサロン」という名前がつきました。その後にたしか2012年ころだったと思いますがこの仕組みが「ダイアログ」というものであることを知り、ピーターセンゲ教授などの本を読み、支店長会議をダイアログをやるなどしていたところ、金融庁も「対話」という言葉を使うようになり意を強くした次第です。

  2. 寺岡雅顕 より:

      職員との対話を行わないだけでなく、監督当局に対しては本音と建て前を使い分けろ・・・となどと指示をだす経営者はいないと信じたいですね。

     直前に合併を控えている地域金融機関で、もしこんな話があれば、顧客と職員を置き去りにする最悪な経営ですね。

     まさか・・・ネ

  3. 新田信行 より:

    備えあれば憂い無し。いえいえ、憂い無ければ備え無し。です。

    多くの地域金融機関にとって、今は平常時ではなく、危機対応時ではありませんか?既に体が熔けているのに、いい湯だと感じているとしたら、神経が麻痺しているように思えます。日本の地域金融の未来が心配です😢💦