行政が提示するルール (その典型が金融検査マニュアルです) に当てはめて、形式要件 (典型はガバナンスです) を整え、実際のビジネスでは先例踏襲と他行事例の模倣こそが経営だと思っている「思考停止の経営陣」と、その経営陣のもとで、顧客本位は口だけ、その実態は自己収益を追求するだけの「プロダクトアウトが蔓延する現場」。それに嫌気がさして、若手中堅の早期退職が急増。
これが多くの地域金融機関の現状です。
元凶である「思考停止の経営陣」は、金融検査マニュアル時代20年の蓄積によるものであり、残念ながら経営陣の次世代層にも思考停止病は感染しています。
この構造は組織存亡の危機でもない限り刷新されることはないでしょう。
数ヶ月前、ある老舗地方銀行がナンバーツーのポジションに外部人材を招聘したことが業界関係者に驚きを持って受けとめられました。
その背景について知るよしもないのですが、外部人材という劇薬が岩盤と化している「思考停止の経営陣」を崩す上での化学反応を導き出す可能性を秘めていることは間違いありません。
コメント
ところが足元では、これから面倒になる金融庁との探究型対話を避け、好待遇で余生を暮らそうという「敵前逃亡型(?)」のトップが少なくないようです。
経営者なのに、なぜ思考停止になるのでしょう?
その謎を考えているうちに急に不安になってきました。もしかして「お客様本位」を説明できないのでは?!
以下2つのことを思い出しました。
①退職したベテラン職員に理由を聞いて愕然。
「投資商品を売っても、下がるのがイヤ」と涙ながらに語っていました。
投資は価格が変動するので、下落することもありますから、販売時にどのような説明をしているのだろう?と思いました。
このベテラン職員は「もう投資は販売したくない」と言っていました。
②金融界でとても偉い方(元当社ではない)にお客様本位をお聞きしたら
「顧客はリスクを理解できないから、下落しにくい商品を作ればいいんだ。」と仰っていました。
私は「お客様は賢いです。どのくらいのリスクが取れるかを顧客自身が認識する必要があります。その上で購入する商品を決めていけば、下落時には追加もあり得るのです。」
と申し上げましたが全く聞いていないご様子でした。(言い方が生意気だったのかしら?)
もしかしたらお”客様本位”が何かわからないから、金融庁との対話にも応じられないのでは・・・?
考えが甘いですか?
森脇さん、仰る通りですよ。
実際、「顧客満足」と「顧客本位」の区別もつかない行員が多いと感じます。
本当は商品知識の前にそこをしっかり理解することが大事なのですが、そもそもの「7原則」すら言えない人間も多いのが現状です。
顧客が毎月分配を受け満足していればそれでいいのか?いいえ違います。顧客の「真の利益」は何かを追求することが重要なのです。
顧客が「真の利益」を得てこそ、「顧客満足」にも繋がるものだと思います。
私なりにお客様本位を定義します。
まずは分かりやすく京都信金でも流行りの定義です。要は相手が自分の大切な家族であると思って相談に応じること。自分の祖母に言うことをお客様にも申し上げること。
次はちょっと学問的なお客様本位の定義。情報の分布が非対称な取引相手から受任した取引で忠実義務を果たすこと。岩井克人さんによれば、信任取引における受任者の忠実義務のことを、フィデューシャリー・デューティという。
増田さんがお書きいただいたように考えると、お客様本位はとてもカンタンに理解できて、即実践できますよね。
目線が顧客を向いていると、お客様本位はカンタンで、上司や会社を見ていると途端にわからなくなるのでしょうか。
あ、だから率先して目標廃止している金融機関は、職員が上司や会社を見て仕事をしないように仕組み作りをしているということですね。
フィデューシャリーデューティーは情報の非対称性が問題とすると、前提として、行職員がプロフェッショナルである必要があります。
しっかり学んだ行職員がお客様と向き合った時、最大限に良い効果が発揮されますね。
1,2年目の若手も、先輩方のフォローがあれば、大丈夫でしょう。
なんだか楽しくなってきました。
東北の銀行員さん、応援してます!