9月11日に公開された東京商工リサーチによる「全国の無借金会社8万4千社調査」を興味深く読みました。
東京商工リサーチが財務データを保有する34万社のうち8万4千社が無借金であるという事実をどうとらえるか?
普通に考えれば、内部留保が厚く、資金需要がないのが無借金会社ですが、なんでも懐疑的で素直ではない (笑い) ワタシのとらえ方はそれだけではありません。
実際、中小小規模事業者からは、
「かつて地元金融機関の手のひら返し (貸し渋り、貸し剝がし) でひどい目にあった。金融機関は信用できない。だから資金需要があっても金融機関からは絶対に金を借りない。」
との根強い声があることも事実です。
こういう企業の事業資金は、内部留保や企業間信用でまかなわれていると考えられます。(最近はクラウドファンディングもあるかな、、、)
小規模中小無借金会社の内部留保の実態は解明できるでしょうが、(金融機関不信がもたらす) 企業間信用の実態は、東京商工リサーチ等の調査機関や日本銀行等の企業調査レポートでは明らかにされていません。(もしそういうデータがあれば教えていただきたいものです)
本調査では県別の無借金会社率が出ていましたが、上位にランクされている県に本店を構える地域金融機関のリレバンの取り組み状況を思い浮かべてしまいました。
上位にランクされたX県のP金融機関さん、どう思われますか?
コメント
拝見いたしました。
規模別では中小企業が多いようですね。
恥ずかしながら私は数年前まで、無借金会社は商売(融資)にならないと勝手に決めつけていました。
その後ある経験が転機となり、今では無借金会社にも融資先同様の「顧客本位の本業支援」を行っておりますが、真に顧客本位に徹することで顧客の銀行に対する見方が変わることや(無借金の理由は様々です)また本業支援の内容によっては当然新規融資に繋がるということが分かりました。
未だに自分本位の金融機関が多いと感じますが、その中にも顧客本位の行職員が少なからず存在する筈です。そして彼らが無借金会社への「金融排除」を解決するキープレイヤーになることと思います。
評価されるかどうかは別ですが(笑)。
このデーターに潜む課題の捉え方は組織によって様々なのでしょう。
日常生活、仕事、全てにおいて目的意識が違えば、同じものを見ても、それぞれ感じ方が180度違うものです。
今回のこの具体的なデーターを、どのように捉えているのか、私も金融機関側にお聞きしてみたいです。
販路拡大や事業拡大、事業承継、仕入れの改善、設備更新、人事採用、工場用地などなど、事業をしている限り、「お悩み事がない」なんてことはありえません。
そこには潜在的な資金ニーズが事後的にであれ、発生する訳です。ですから、それに向き合うことを初めから放棄している金融機関は、「金融排除」だと私は断定しています。「資金ニーズがない(他行からの借り入れがない)」というのは、自己都合のトンチンカンな判断です。
他方、金融庁は担保保証がないと取引しない金融機関と狭義の「金融排除」の定義です。
これは見解の相違というよりも、もはやビジネスモデルの問題かもしれません。
先日のジンテックセミナーでは、山形大小野教授から「カロリー金融の時代は終わった」とのご指摘がありました。「ヘルシー金融」の時代には、「無借金会社だから用はない」という理屈は成り立ちません。完成品ばかりをつくらされているのであれば、付加価値率は大丈夫でしょうか?事業者の先々を見越した体質改善(付加価値率の向上)も「ヘルシー金融」の立派なお役立ち(すなわちリレバン)だと思うのですが。