転落の構図

地域金融機関が転落していく図式を整理してみました。

~ステージ①: 経営環境が悪化、収益力が低下

~ステージ②: 目先の利益だけを上げるための施策 (自己中心、フィデューシャリーデューティー軽視) とコストカット

~ステージ③: 身の丈に合わないリスクテイクで大損 (有価証券運用、地元外での融資など) → 経営が責任を取らない

~ステージ④: 目先の利益だけを上げるための施策とコストカット、とくに人件費削減、 が“加速”

~ステージ⑤: コンプライアンス上の問題が続出 → 経営は現場の責任にする

~ステージ⑥: 急激な顧客離れとヒューマンアセットの壊滅

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現時点では、この転落の図式のステージ②のところに多くの金融機関が集中しているものと思われます。

ステージ②になると顧客との信頼関係がなくなり、早期退職が顕著になります。

そして、ステージ③まで来るとステージ⑥までの転落はまたたく間です。

ステージ③での「経営が責任を取らない」、ステージ⑤での「経営は現場の責任にする」は致命傷を招く禁じ手です。

ところで、

過去の地域金融機関の破綻は、不良債権や有価証券運用の失敗で資本を大きく毀損したことが引き鉄となりました。最近はこのような一発レッドカードはほとんどなく、今後はこの図式で地獄への道をたどっていくケースがマジョリティになるものと考えられます。

CSとESの欠如による破綻ですね。

ステージ⑥に陥っている金融機関はもとより、ステージ②で何とか止まっている金融機関も、自己資本が激減しているわけではありません。 早期是正のトリガーへの時間が残っている限り、ES、CSの立て直しからビジネスモデルの再構築を考えていくしかないのです。

心理的安全性に裏付けられた企業風土、人材面ではダイバーシティ、ビジネスモデルは組織的継続的なリレバンです。

それができない経営陣は不適格。直ちに退場しなさい。

お客様のためにも地域のためにも従業員のためにも。


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コメント

  1. 橋本卓典 より:

    >過去の地域金融機関の破綻

    いずれの破綻も過信と慢心から「神話」を追いかけた結果です。面白いことに、リレバンで破綻した金融機関はかつてありません。よく分からないこと、手触り感がないことが一番危ないのです。

    大体、目先の粗利(言い換えれば、単なる自分たちの給与維持、空虚なステータス維持)が最優先になった会社組織ほど、危ないものはありません。スルガ銀行も商工中金もかんぽ生命もすべて同じです。優先順位が事ほどさように重要なのです。

  2. 新田信行 より:

    ステージ6からの再生の構図を考えさせられました。どのような施策をどのような順序でどのような時間軸で進めていくのか?ケースバイケースではありますが、かなり難問です。もっとも重要なのは、職員とお客様の心をどう動かせるかだとは思います。よほどの人物が求められますね…。