地域銀行の東京拠点の主たる役割は、地元での預貸ギャップを埋めることなのですが、国債の利回りがゼロパーセント近辺に張り付いた今、この比重がますます高まっています。
従来型の大企業等向けのプレーンな融資で量を稼ぐことに加え、利回り狙いのストラクチャーが組み込まれた金融商品への取組みに拍車がかかっています。
いわゆるストラクチャーものには証券化商品やデリバティブズがビルトインされた商品などがありますが、取組みにあたってはリスクとリターンのプロファイルを明らかにすることから始めねばなりません。
さらに契約書は英文のものも多く、documents の中身を精査する能力も要求されます。
米国のビジネススクールなどに留学した人間にはお手のものですが、そういう人材の蓄積された地域銀行がある中で、コスト削減の過程で留学生制度をやめた地域銀行は人材難に苦慮しています。
ヒューマンアセットの重要性を理解し、厳しい経済環境でも人材育成を怠らなかった銀行と、目先の利益のためヒューマンアセットを軽視した銀行の違いが、東京拠点の資産ポートフォリオ形成に大きなコントラストを招いているのです。
コメント
地銀の東京支店長にアドバイス申し上げているのは、県人会とのリレーションを築きなさいということです。東京は地方出身者のるつぼです。出身地を愛する方々と、志の連携をしていくことが、地銀の東京支店の大切な役割だと思います。
新田さんのおっしゃっていることは、ネットワーク思考、私なりの言い方では「部活」です。「組織」(クラス・学年)を超えた、「共通の価値」(同郷出身、県人会)で結ばれた「ネットワーク」(部活)の方が話が早い場合が多々あります。特に「地域の元気」「ヒトさがし」という広範な課題には、組織での対応、組織間の連携が最適なアプローチとは限りません。オープンアーキテクチャーとかオープンマインドというのは、ネットワークをうまく使うということを指しているのです。県人会とは、その格好の場ですが、有効活用されているのでしょうか。
ある地銀の東京支店長との話です。
県人会ネットワークで地元出身者が経営する企業を訪問したら、
「待っていたぞ。やっと来たか」と言われた。
その会社はメインバンクのメガバンクの腰が引けていて銀行取引の見直しを行おうとしていたとのこと。