地域金融機関におけるSDGs の取り組みで「私募債」が流行りものになっています。
「〇〇銀行 SDGs宣言、まずは寄付付き私募債から」などという新聞報道を見ると、オイオイと思ってしまいます。
別に否定するつもりはないのですが、本筋のところに踏み込んだ SDGsかといえば???
ちなみにこの〇〇銀行、先期は当期利益をはるかに上回る損失を外債投資で計上しています。(経営者は責任を取っていません)
そういう銀行のSDGs 宣言が果たして信用できるでしょうか。それとも心を入れ替えて地元での金融包摂を行おうとしているのでしょうか。だったら「まずは寄付付き私募債」ではないででょう。
さて、
昨日も某地域金融機関でSDGs の行動指針につき議論しました。
ワタシの考えはシンプルです。
地域金融機関のSDGs は、その思想を地域の事業者、個人、そして地域社会に定着させることに尽きるのです。
昨年5月のESG金融懇談会(環境省主催、金融庁も参加)で京都信用金庫の増田理事長(当時)が提言された、
~ ESG金融は社会貢献活動ではなく、本業に通じるものである。SDGsの中では目標8.10「国内の金融機関の能力を強化し、すべての人々の銀行取引、保険及び金融サービスへのアクセス拡大を促進する」に最もよく当てはまり、リレーションシップバンキングとも同じ考え方である。
(環境省ホームページに掲載)
が、地域金融機関のSDGs の原点です。
そう考えれば、
地域金融機関のSDGs 行動指針は明確です。
ステップ(1)→ 組織的継続的なリレバンに磨きをかける中で、リレバン活動をSDGs の目標/ターゲットにひも付けし、役職員がそれをしっかりと腹に落とす。
ステップ(2)→ 役職員が一丸となって地域事業者、個人、そして地域社会に対し、日頃のリレバン活動の中で SDGs を浸透させる。
リレバンを「なんちゃって」でお茶を濁し、私募債やSDGs の冠を掲げた金融商品販売をもってSDGs をアピールするのはいただけませんね。
コメント
多胡さんがたびたび金融機関のSDGSに言及されている。それで私も感想を申し上げます。最近、業界の会合などに参加するとびっくりするくらい多くの信金理事長さんが胸にSDGSバッジをつけている。ちょっと下世話な言い方をすれば「猫も杓子も」に近い印象を受けてしまう。そんなに多くの人が一斉に「持続的成長」を掲げるのはどう考えても不自然に思えてならない。本当に支持してるのですかと聞きたくなる。私の素直なSDGSの印象は「貧困や格差とのグリーンな戦い」であり山本太郎さんたちのイメージと重なるところが多い。だから金融業界のトップたちが一斉にSDGSバッジをつけることがどうしても符合しない。選挙になれば地元のごりごりの保守基盤を形成することが多い人達ですから。この違和感は私の邪推なのでしょうかねえ。
増田様
違和感よくわかります。
どこぞの経済団体の活動に従っているのでしょう。
赤い羽根、緑の羽根、オリンピックとその時その時、だれもが背広の襟に羽根やバッジをこれ見よがしにつけています。辟易しますね。
まるで幼稚園児です。
金融業界は、本音と建前は別との文化が染み付いているように感じています。お客様第一とか、地域のためとか、皆が言っていますが、本音は違うように感じることが多いです。そして、横並び意識が強いですから、皆が同じ建前を言うのでしょう。SDGsも建前で語られているのでしょうね。
存在自体がSDGsであってほしいですね。「冷やし中華やってます」という貼り紙は「冷やし中華以外もやっている」ということです。冷やし中華は客寄せかもしれません。「SDGsやってます」はどうなんでしょう。※冷やし中華に悪意はありません。季節外れですが。
橋本さんの「SDGS冷やし中華説」、おもしろい、最高!